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日本人の甘え

曽野綾子/著

814円(税込)

発売日:2016/09/16

  • 新書

完全な国など、どこにもない。仕事、社会、人生。「人の世の理(ことわり)」を見つめ直す。

待機児童や貧困問題に見る国と社会への認識の甘さ、騒々しく謝罪ばかり求めるメディアの思い上がり、他国や他民族への無理解と独善的な価値判断……近年、あらゆる事象にこの国の体質変化が現れ始めた。「プロとは家の事情を超えて働ける者」「ユートピアとはどこにもない場所」「最悪を基準にものを考える」など、現代人の甘えを問い直し、人の世の道理を説く。

目次
第一話 動物の原則に逆らう覚悟はあるか……待機児童問題が内蔵する嘘
国と社会に対する認識の甘さ/贅沢すぎる現代の夫婦/猿でも守っている「親である条件」/プロとは家の事情を超えて働ける者
第二話 打算的処世術と権威主義の臭い……日本社会の体質変化
大げさすぎるNHKの地震情報/無難なこと、悪くないこと/異常多弁文化と「平和」の乱発/ユートピアとは「どこにもない場所」
第三話 マスコミの思い上がり、退化、幼児化を憂う……庶民の無言の選択
「たかが」作家への言論弾圧/個々の判断こそ民主主義の基本/謝罪を要求する哀れさ/世間へのささやかな抗議
第四話 「理解」は人間性の見事さではない……アラブ的思考を学ぶ
血縁地縁と同宗教が「隣人」の条件/道徳的、人道的という独善性/遊牧民的思考形態への無自覚/「正義の味方」の幼稚な記者たち
第五話 人間が極限の生きる力を出しきる時……難民の現実的困難
何もしないよりは一人でも救う/難民の常識、日本的な文句/「ディスプレースト・パーソン」の将来/芸術的なまでの積載技術
第六話 痛みに耐えて歩く人々と「道の人」……「小さなパン三個」の精神
歩くことは、生きること/戦後日本の「敷石のドミンゴ」たち/飢えによって死ぬことなからんため/引揚から難民を考える
第七話 自ら選ぶ自由と可能性を贈る……医師が患者を治す意味
トイレはアフリカ学の第一歩/避雷針代わりの「キャベツの木」/パスカルの青っ洟/治療後の悲惨な人生
第八話 日本を許してあげて下さい……国家的対応の限界
「ハンセン孤児」の精神的苦痛/呼称さえ換えればいいのか/インドのライ病院での光景/国家的規模の壮大な事業
第九話 目の前に立ちはだかる絶対の障壁……積乱雲の記憶
巨大なパゴダのような積乱雲/私の中の「見果てぬ」夢/初めてチャーターした自家用機/この世に立ちはだかる暴力
第十話 神は人生のすべての瞬間の立ち会い人……人生の原型
生涯の厳しい労働、沈黙、祈り/戒厳令下チリの日本人シスター/惰性よりも自分らしい生き方で/お金から解き放たれた境地
第十一話 原則を守るためには適用も要る……物事の基本
懐中電灯とライター/遭難時に必要な道具/最悪を基準にものを考える/すべては「ない」状態から発生する
第十二話 過保護が心身の免疫力を失わせる……不潔と不純の恵み
お腹をこわさずに暮らす方法/「きれい好きは病気を招く?」/戦争がもたらした自己改造/神から贈られた健康の仕組み
第十三話 破壊的にでなく、穏やかに個性を貫く……服装が語る過去と現在
日本財団での入社面接/醜悪で画一的なリクルート・スーツ/ハレの日には一番いい服を/「人間ビスケット」の貧しい心情
第十四話 食事には餌の摂取以上の意味がある……会話とものを大切に
貧困問題への違和感/信仰と殺生はかけ離れたもの/「ご復活料理」の深い味わい/おいしいものは高価なものではない
第十五話 人間のすべてのことは、いつか終焉が来る……人の世の理
終息に対する情熱/「もういい」という納得と感謝/「持って満足」から「捨てて爽快」へ/「空」が入りこんで来る時

書誌情報

読み仮名 ニホンジンノアマエ
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 新書
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610686-6
C-CODE 0210
整理番号 686
ジャンル 社会学
定価 814円

著者プロフィール

曽野綾子

ソノ・アヤコ

1931(昭和6)年東京都生まれ。作家。聖心女子大学卒。1979年ローマ法王庁よりヴァチカン有功十字勲章を受章、2003年に文化功労者。1995年から2005年まで日本財団会長を務めた。『老いの才覚』『人間の基本』『人間にとって成熟とは何か』など著書多数。

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