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毛沢東―日本軍と共謀した男―

遠藤誉/著

924円(税込)

発売日:2015/11/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

「日本軍の進攻に感謝する」(1956年9月4日の毛沢東発言)中国研究の第一人者が描いた「建国の父」の真実。

「私は皇軍に感謝している」──。日中戦争の時期、実は毛沢東は蒋介石や国民党軍の情報を日本に売り、巨額の情報提供料をせしめていた。それどころか、中共と日本軍の停戦すら申し入れている。毛沢東の基本戦略は、日本との戦いは蒋介石の国民党に任せ、温存した力をその後の「国民党潰し」に使い、自分が皇帝になることだったのだ。中国研究の第一人者が、徹底調査した資料で物語る「中国共産党の不都合な真実」。

目次
はじめに――中華民族を裏切ったのは誰なのか?
第一章 屈辱感が生んだ帝王学
生い立ち
革命への目覚め
知識人憎悪の原点は「北京大学」
第二章 「満州事変」で救われる
湖南での活動から中国共産党建党まで
「ヤドカリ戦略」で国民党幹部に
汪兆銘と親交を結ぶ
蒋介石の直感
蒋介石の苦悩と張作霖爆殺事件
虎は三頭は要らぬ――井岡山での大量殺戮
国の中に「国」を創る
満州事変で「救われた」紅軍
内に秘めたコミンテルンへの憎悪
第三章 日中戦争を利用せよ――西安事件と国共合作
長征を成功させた日本軍のアヘン政策
蒋介石拉致事件をめぐる陰謀
「抗日には兵力の10%しか注ぐな!」
毛沢東は「南京大虐殺」をどう見ていたのか?
第四章 日本諜報機関「岩井公館」との共謀
中国共産党による真逆の歴史解釈
岩井英一と中共スパイ・袁殊
「共産党員でもかまわない」
毛沢東のスパイ・潘漢年、日本軍に停戦を申し入れ
情報提供料はいくらだったのか
第五章 日本軍および汪兆銘政権との共謀
岩井公館を乗っ取らせていた廖承志
汪兆銘政権を支えた日本軍人たち
近衛内閣の「南進政策」決定で救われる
特務機関76号の李士群を狙え
汪兆銘との密約、もう一つの証言
潘漢年、汪兆銘と再会?
第六章 日本軍との共謀と政敵・王明の手記
日本陸軍・都甲大佐との密約
中共、岡村寧次大将に接触
政敵・王明との口論の実録
真実を知るものはすべて消す
第七章 我、皇軍に感謝す――元日本軍人を歓迎したわけ
日本軍民の帰還に集中しすぎて後手に回った蒋介石
「長春を死城たらしめよ!」
毛沢東と元日本軍人・遠藤三郎との対談
左翼の「謝罪」にはうんざりしていた
毛沢東と蒋介石、岡村元大将を取り合う
歴史認識に関して
おわりに――毛沢東は何人の中国人民を殺したのか?
参考文献

書誌情報

読み仮名 モウタクトウニホングントキョウボウシタオトコ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 288ページ
ISBN 978-4-10-610642-2
C-CODE 0222
整理番号 642
ジャンル 政治、外交・国際関係、ノンフィクション
定価 924円
電子書籍 価格 902円
電子書籍 配信開始日 2016/05/13

蘊蓄倉庫

毛沢東と「南京大虐殺」

 毛沢東は、いわゆる「南京大虐殺」について生涯で一度も言及していません。中国共産党が編んだ「毛沢東年譜」は、日々のレベルにわたって毛沢東の行動を記した公式資料で6000頁以上の分量がありますが、「南京大虐殺」に触れているのは、これが起きた当日とされる1937年12月13日の「南京失陥」の四文字だけです。
 中共は当時、延安という田舎に逃げ込んで、日本軍との戦いを避けていましたから、国民党支配下の南京での出来事は「関係なかった」のです。
掲載:2015年11月25日

担当編集者のひとこと

驚愕! 人民を裏切っていたのは「建国の父」その人だった

「日本軍の侵攻に感謝する」──。これは1956年9月4日に、毛沢東が訪中した元日本軍中将、遠藤三郎に対して言った言葉です。
 日中戦争の時期、毛沢東は「国共合作」で得た国民党の情報を日本に売り、巨額の情報提供料を得ていました。それどころか、スパイを通じて日本軍との停戦を申し入れてもいます。毛沢東の基本戦略は、日本軍との戦いは蒋介石の国民党軍に任せ、温存していた力を日本軍が去った後の「国民党潰し」に使い、自分が皇帝になることにあったからです。
 また、毛沢東は戦後も一貫して、日本の軍人と協力しようとしていました。1949年に中華人民共和国の建国を宣言したとはいえ、中国人の意識の上では「国共内戦」は終わっていません。当時は中共も台湾も「日本軍人の力を使って」相手を追い詰めることを考えており、日本の軍人は中台が「奪い合う」対象だったのです。冒頭の発言が、戦後に日本軍人に対してなされたのには、そういう背景があります。

 また、今の中国共産党の姿勢からは想像しにくいかも知れませんが、毛沢東は「反日」ではありませんでした。
 中華人民共和国は、「日本をやっつけた国民党軍をやっつけて誕生した国家」であり、毛沢東はそのことを明確に意識しています。だから、国民党支配の南京で起こった「南京大虐殺」には生涯一度も触れていませんし、「尖閣も沖縄も日本のものである。アメリカ帝国主義は日本に領土を返せ」と主張しています。
 習近平のように、対日戦争勝利記念日の9月3日に祝賀行事をやったこともありません。祝うのは、国共内戦の勝利で実現した「中華人民共和国」の建国記念日(10月1日)だけで、国民党を含む連合国の勝利は「他人事」であると認識していました。

「歴史認識」を問うならば、日中ともに真に認識すべき点、議論の出発点とすべき点は「毛沢東は日本軍と共謀して国民党から政権を奪取した」という事実でしょう。健全な日中関係を取り戻す第一歩は、まずはこの事実を日本と世界がきちんと認識することです。日本人の中にも、中国に対する「罪悪感」から、なんとなく共産党の抗日プロパガンダを信じている人が少なくありません。しかし、中国の戦略は、まさにそこにつけ込んでいるのです。

 中国研究の第一人者で、国共内戦を身をもって経験した著者が、人生をかけて記したのがこの本です。「歴史認識」に興味を持つすべての人にお読み頂きたいと思います。

2015/11/25

著者プロフィール

遠藤誉

エンドウ・ホマレ

1941(昭和16)年中国吉林省長春市(元満州国新京市)生まれ。国共内戦を決した「長春包囲戦」を経験し1953年に帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。著書に『チャーズ 中国建国の残火』『チャイナ・セブン〈紅い皇帝〉習近平』など多数。

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