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沖縄の不都合な真実

大久保潤/著 、篠原章/著

814円(税込)

発売日:2015/01/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

政治家、建築会社、知識人、公務員、地元メディア……利権とタブーを炙り出す。

こじれにこじれる沖縄の基地問題の本質はどこにあるのか。見据えるべきは「カネと利権」の構造である。巨額の振興予算を巡り、繰り返される日本政府と県の茶番劇。この構図が変わらない限り、問題は解決できない。公務員が君臨する階級社会、全国ワーストの暮しに喘ぐ人々、異論を封じ込める言論空間等々、隠された現実を炙り出す。党派を問わず、沖縄問題の「解」を考えていく上で必読の書。

目次
序章 沖縄はこれからどうなるのか
現実はきわめて複雑である/「心」「平和」以外の議論を/「総意」とは何なのか/沖縄ナショナリズム/翁長知事当選の示すもの
第一章 普天間問題の何が問題なのか
普天間問題とは何か/普天間を巡る利権の構図/なぜ政府は辺野古移設にこだわるのか/建設会社の代理戦争だった衆院沖縄一区/振興策というエンドレスゲーム/新たな取引材料となる「自衛隊配備」/「海兵隊の代わりに自衛隊を」でも変わらぬ本土依存/税金の還流システム
第二章 高まる基地への依存
活発な普天間誘致の動き/基地返還に反対する名護市/辺野古の分断/なぜ「基地を返さないでほしい」という声が出るのか/今も続く「ギブ・ミー・チョコレート」/米軍にとって「居心地のいい」沖縄/アメリカの戦略的支配からの脱却/軍事基地の八三パーセントは本土にある/基地被害を都道府県レベルで比較するナンセンス
第三章 「基地がなくなれば豊かになる」という神話
誤解を与える「経済効果」という概念/「年率一四パーセント」という空想的な経済成長率の根拠/驚くべき計算過程の欠落/基地がなくなっても豊かにはなれない
第四章 広がる格差、深まる分断
「下流の宴」の実態/振興策は大企業のみを潤す/日本一の階級社会の実態/「結」(ゆい)の崩壊/琉球大OBという「支配階級」/辺野古も高江もエリート同士の戦い/左翼がいない不幸/権力べったりの新聞/辺野古に仕事を/分裂前夜
第五章 「公」による「民」の支配
反戦平和の島・癒しの島の貧困/「全国最低の県民所得」が意味するもの/深刻な所得格差/公務員は沖縄の富裕層/百姓二人が士族一人を養った琉球時代/革命的な公務員改革だった「琉球処分」
第六章 本土がつくったオキナワイメージ
沖縄の声を支える本土の知識人/大江・筑紫的沖縄観を自ら振る舞う沖縄人/「戦争と基地の島」という幻想/「自然の楽園」という幻想/「応援しよう」という根本的な傲慢
第七章 「沖縄平和運動」の実態と本質
普天間基地ゲート前の示威行動/沖縄平和運動センター/基地反対運動を動揺させた普天間基地返還合意/県民投票はなぜ行われたのか/「基地反対集会に一〇万人」の真偽
第八章 異論を封殺する沖縄のジャーナリズム
ドキュメンタリー作家・上原正稔/「パンドラの箱」事件/大江賠償訴訟/訴訟になった「パンドラの箱」/「パンドラの箱」を報じないマスコミ/自費出版拒絶問題
第九章 「構造的沖縄差別論」の危うさ
「沖縄人」と「日本人」/「部落解放同盟」の機関誌で展開/沖縄内部の矛盾を覆い隠そうとする知識人たち/構造的差別論を支持する「日本」の識者
あとがき

主な参考文献

書誌情報

読み仮名 オキナワノフツゴウナシンジツ
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610601-9
C-CODE 0231
整理番号 601
ジャンル 軍事
定価 814円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2015/07/17

著者プロフィール

大久保潤

オオクボ・ジュン

1963(昭和38)年生まれ。日本経済新聞社元那覇支局長、現新潟支局長。国際基督教大学教養学部卒。著書に『幻想の島 沖縄』。

篠原章

シノハラ・アキラ

1956(昭和31)年生まれ。大学教員を経て評論家。経済学博士(成城大学)。共編著に『ハイサイ沖縄読本』『沖縄ナンクル読本』等。

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