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知的創造の作法

阿刀田高/著

792円(税込)

発売日:2013/11/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

「アイデアの井戸」を知っていますか?【◎説明は3分で ◎ぼんやりと考えよ ◎「真似」を怖れない ◎アイデア・ノートは必須】ひらめきを生む独創的思考法!

知識は創造のためにあり、創造にはアイデアが命である――。900編を超える作品を生み、40年以上も「アイデアの井戸」を掘り続けてきた著者が、その思考法を大公開。実践的「アイデア・ノート」の作り方とは? ネーミングのコツは? ぼんやりと考える効能とは? 読み進めるうちに、「ダイジェスト」する力、「不思議がる」疑問力等、閃きを生み発想を活かすための作法が見えてくる。「知的創造へのヒント」が満載!。

目次
はじめに
第一章 ダイジェストする力
幽霊を分析する/狙いをつけよ/幽霊になるためには/特徴をつかむコツ/知識と目的/ダイジェストの価値/三分間で説明する/縮図ではなく奇型をつくる/長さと短さ/池上彰さんの力/街のダイジェスト/分類こそダイジェスト/“知っていますか”を知っていますか/アイデアの誕生/表現する力/サンデル教授の方法/源氏物語をダイジェストする/カミュの神話作法/さまざまな言葉遊び/ネーミングが命/「ワニ」とは何か
第二章 アイデアの井戸を掘る
アイデアさん、こんにちは/ベストセラーのたくらみ/セレンディピティとは/求めよ、さらば開かれん/金魚型定規のすすめ/〈発明の母〉の発案/アイデア発見の共通項/不思議がる力/不老長寿を考える/「その通り」からの発想/対比する面白さ/松本清張のアイデア・ノート/私の創作法/アイデアと柔道の関係/メモをとる効用/ノートとITのちがい/美人の欠点を膨張させる/不可思議から恐怖へ/雪女と父の恋/アイデアの拾得に役立つ人/アイデアと作品のあいだ/お婆さんこそユーモラス/プラス・アルファの知識と体験/「三・統一の法則」とラシーヌ/ユーゴーの成功、そして……
第三章 閃く脳味噌の育て方
モチーフのすすめ/シンプルな脳味噌/ひたすら短編小説を読む/手本にした作家たち/読書と若い脳味噌/“変な少年”だった頃/算数の+-×÷と漢字の六書/母は何を考えていたか/ユーモアの本質/ユーモアの条件/べつな見方の大切さ/名作の実例/「いい加減さ」が生むアイデア/紫式部の歌の謎/奔放なイマジネーションを
第四章 知的創造の海へ
一番短い小説/〈初めに言葉があった〉のミステリー/ヨハネのレトリック/“兄にやが死んだら腹這いたや”/言葉遊びというレッスン/“いつ・だれが・どこで”/アイデアは潜んでいる/ストーリー仕立てで説得せよ/俳句や和歌もアイデアの海を
第五章 私の読書、私の執筆作法
読書はすばらしい/同好の士と語り合う/周作人を知っていますか/読まれない本たちの恨み/過去の自著と戦う/短編と奇想天外な嘘/アラン・ポーのように/『蜜柑』のトリック/手書きが消えてしまうと/最初の十行と最後の十行を創る/人間性の発見こそがアイデアになる
落ち穂拾い
――あとがきに替えて――

書誌情報

読み仮名 チテキソウゾウノサホウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610543-2
C-CODE 0210
整理番号 543
ジャンル 文学賞受賞作家
定価 792円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2014/05/23

蘊蓄倉庫

「発明発見」へのひらめき

 阿刀田高氏は、新しい「発明発見」に常に関心をもたれているそうです。
 その「独創的思考法」からひらめいた、以下のような「発明」が紹介されています。

・ひとつの定規で、正三角形から正十角形まで、あらゆる図形が書ける「金魚型定規」。
・「あなたの誕生日はなん曜日」か、即座に計算できる一覧表。

 小説のみならず、常にユニークなアイデアを生む思考のプロセスや秘訣は、読者にも「知的創造へのヒント」になります。詳しくは、第二章、第三章を参照ください。
掲載:2013年11月25日

担当編集者のひとこと

「アイデアの井戸」を掘り続ける人気作家の思考法

 本書は、阿刀田高氏による新書で初の「書下ろし」です。
 阿刀田氏は、『ナポレオン狂』(直木賞受賞作)をはじめ、『恐怖同盟』や『だれかに似た人』など、最後に戦慄したり、ユーモアを堪能できたりする、魅力的な数々の短編や、『新約聖書を知っていますか』や『ギリシア神話を知っていますか』など、ダイジェストの名手として知られる人気作家です。
 日常に潜む恐怖が読者を驚愕させたり、意外なユーモアで笑いを誘う阿刀田氏の魅力的な作品は、どのように発想されているのでしょうか。
 また、膨大でなかなか読めない有名な古典や名作を、「知っていますか」のシリーズのようにおもしろく「ダイジェスト」するにはどんな秘訣や作法があるのでしょうか。
 40年以上にわたり、900編以上もの作品を生み出されてきた阿刀田氏ならではの「発想と実践法」を、本書で大いに公開していただきました。
 いってみれば、阿刀田高氏という作家の「企業秘密」です。
 阿刀田氏にお宅で見せていただいた、「アイデア・ノート」や「備忘録」は貴重なものでした。
 そして、それらは創作のみならず、ビジネスや人間関係に活用できそうな、斬新なアイデアを生み出すためのヒントが満載です。その一部を列記してみます。「ダイジェストする力」の養い方/幽霊を分析する/「ぼんやり」と考えよ/実践的「アイデア・ノート」の活用法/三分間で説明する/奇想天外な嘘の効能/マネを恐れるな/人気を得るネーミングのコツ/松本清張の発想メモに学ぶ/「不思議がる」力の鍛え方/「いい加減さ」が生むアイデア/文才と表現力の養い方/ユーモアの磨き方/モチーフのすすめ/メモの効用/ノーベル賞学者のひらめき/多読と創作の秘訣/ベストセラーのたくらみを見抜く/創造力を養う読書術/アイデアを生む人間観察力……

 さらに、本書には、阿刀田氏の小説作法や独自の「発明」も記されています。
 また、世界の古典や日本の名作などが紹介されていて、啓発されることが多々あります。
 
 氏の短編小説ではありませんが、本書でも、阿刀田作品ならではの「意外な結末」が記されていますので、ご期待ください。
 読むほどに、斬新な「ものの見方、考え方」が養われ、「ひらめく力」を培う刺激的な「独創的思考」の作法が、柔らかな筆致で説かれていきます。

2013/11/25

著者プロフィール

阿刀田高

アトウダ・タカシ

1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に司書として勤務しながら執筆活動を続け、1978年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。1979年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞、1995年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞を受賞した。短編小説、古典教養入門書、エッセイの名手として知られ、他の著書に『花あらし』『闇彦』『ローマへ行こう』『地下水路の夜』『ギリシア神話を知っていますか』『シェイクスピアを楽しむために』『知的創造の作法』『老いてこそユーモア』など多数。2003年に紫綬褒章、2009年に旭日中綬章を受章。2018年には文化功労者に選出。文化審議会会長や日本ペンクラブ会長、山梨県立図書館名誉館長を務め、妻で朗読家の阿刀田慶子と結成した「朗読21の会」の公演を通じて短編小説の魅力を伝える活動も行っている。

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阿刀田高
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文学賞受賞作家
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