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ネットのバカ

中川淳一郎/著

836円(税込)

発売日:2013/07/13

  • 新書
  • 電子書籍あり

99.9%はクリックする奴隷。――ネット階級社会の身もフタもない現実を直視せよ!

ツイッターで世界に発信できた。フェイスブックで友人が激増した。そりゃあいいね! それで世の中まったく変わりませんが……。ネットの世界の階級化は進み、バカはますます増える一方だ。「発信」で人生が狂った者、有名人に貢ぐ信奉者、課金ゲームにむしられる中毒者、陰謀論好きな「愛国者」。バカだらけの海をどう泳いでいくべきなのか。ネット階級社会の身もフタもない現実を直視し、正しい距離の取り方を示す。

目次
序章 ネットが当たり前になった時代に
イケてる人生にようこそ/ネットが当たり前の世界で生きる/勝ち組は少数派
第1章 ネットの言論は不自由なものである
活字は自由/「バカ発見器」の事件簿/スクープをする一般人/いじめ事件の「誤爆」/エゴサーチをしていなければ/クズ発言/有名人は有利/フォロワー数は「戦闘力」
第2章 99.9%はクリックし続ける奴隷
ブログが先端だった時代/ワケあり明太子の勝利/芸能人とは「最強の個人」/プライベートは金になる/ツイッターでも芸能人が優位/成分に詳しすぎる芸能人/ペニーオークション事件/4割のカモ/「誰が言うか」が重要/クリックする機械
第3章 一般人の勝者は1人だけ
「1ジャンルに1人」の法則/AKBは強い/人は儲けたいもの/中毒者がお得意様
第4章 バカ、エロ、バッシングがウケる
寡占状態のメリット/バナー広告は「嫌われ者」だが/「NEWSポストセブン」の立ち上げ/週刊誌記事を50万PV取る記事に/後楽園ホールは満員にできなくても/ネットで飯を食うための24時間/ウケる見出し作り──(1)ネットの「伝統ネタ」を使え/(2)「笑いたい」「叩きたい」ネタを提供/(3)「それってどういうこと!?」を埋め込め
第5章 ネットでウケる新12ヶ条、叩かれる新12ヶ条
ヤフトピ祭りの2パターン/セコい奴らが多過ぎる/ジャズ喫茶理論とフェイスブック/ローマ法王に突撃した日本人/中国、韓国をホメるな
第6章 見栄としがらみの課金ゲーム
人は「最大手」に群がる/「ニコ動」プレミアム会員は6%/誰もランニング姿のアバターには話しかけない/なぜ「無料ユーザー」が許されるか/クラウドファンディング/素性不明のユーザーが実現した意見広告
第7章 企業が知っておくべき「ネットの論理」
炎上している連中はバカか?/「のまネコ騒動」と「嫌儲」/営業マンよりキャンペーンガール/フェイスブックと企業/AC広告を吹き飛ばしたミゲル少年/ネットの論理に合わせる/迷ったら「キャラ」で乗り切れ/UHA味覚糖が選んだ“ステマ”販促/ネット選挙の行く末
第8章 困った人たちはどこにいる
自己承認欲求が強い人/ネットで一発逆転したい人々/“愛国者”たち/フジテレビは「韓国好き」か/嫌韓気分/ネット界のエヴァンジェリスト(笑)
終章 本当にそのコミュニケーション、必要なのか?
会って飲む意味/フェイスブックの浅い世界/熱男の謎/会いたい人はどこにいる/人間関係はリアルの中にある

書誌情報

読み仮名 ネットノバカ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610530-2
C-CODE 0236
整理番号 530
ジャンル マスメディア、IT
定価 836円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2014/01/24

蘊蓄倉庫

芸能人ブログとお金の問題

 近頃よく「ヤフートピックス」などで見る、芸能人の誰それがこんなことを発表した、とかこんなことになっている、といった情報の元ネタが本人のブログだということは珍しくありません。なぜわざわざ個人的な情報をガンガン自ら公開するのかといえば、アクセス数イコール広告収入になるからです。ステルスマーケティングが問題になってからは多少事情が変わってきているようですが、アクセス数の多い芸能人ブロガーには、広告代理店から「この商品についてブログで宣伝してくれればお金を払います」という話が持ちかけられるのです。
『ネットのバカ』(中川淳一郎・著)によれば、数年前の時点で、芸能人ブロガーのランクは「E」から「S」まであり、1本のブログのエントリーを書けばランクEで60万円、ランクSならば1本200万円という契約になっていたとか。「この化粧品、使ったらすごく良かったよ~」程度の文章でこんなにお金を貰えるのならば、そりゃアクセス数を増やそうとするのも当然でしょう。
掲載:2013年7月25日

担当編集者のひとこと

ツイッター怖い

 新潮新書編集部もツイッターのアカウントは持っていて、増刷情報などをそこでも流すようにしています。しかし、私個人は持っていませんし、おそらくこの後も持たないでしょう。
 ツイッターが世の中を、ビジネスを、人生を変える。そう喧伝されている頃には「俺もやらないといけないのだろうか」とも思いました。まだ40代なのに、新しいものを怖れている場合ではないのではないか、とも。
 しかし、いろんなことを考えてやめました。そもそも友人が極端に少ないから、下手にやると、かえって孤独感が増すという気もしました。「ここで一人で飲んでるよ~」なんてつぶやいて、何時間たっても1人……そんな地獄のような状況を自ら作りたいとは到底思えませんでした。つながっていないからこそ、孤独を感じなくて済むという面はあると思うのです。
 それ以上に、やらなかった理由は、ウカツに本当のことを書いたら、絶対誰かに怒られる、ということです。普段の部内での発言ですら、「そういうことを大人が言うものではありません」と年下の人たちにたしなめられることが多い。そういう人間が、世界に向けて発信なんて、完全にキ●ガイに刃物です。
『ネットのバカ』を読むと、改めて「あの時発信者にならなくて良かった」と思います。そして、紙の本という、現代においては異例なほどゆっくりしたスピードで作られるものに関わっていて良かったなあと思うのです。ネットが未来を変えるという幻想を持っている人、ネットなんてゴミじゃと思っている人、どちらの方にもお勧めできる一冊です。

2013/07/25

著者プロフィール

中川淳一郎

ナカガワ・ジュンイチロウ

1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者などを経て、2020年からは佐賀県唐津市在住。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『バカざんまい』『よくも言ってくれたよな』など。

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