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たくらむ技術

加地倫三/著

858円(税込)

発売日:2012/12/15

  • 新書

「ロンドンハーツ」「アメトーーク!」のプロデューサーが初めて明かす。ヒットの秘密と仕事のルール。

「ロンドンハーツ」「アメトーーク!」など大人気番組のプロデューサーが、自らの「脳内ノート」を大公開! ヒット企画の陰にある数々の「たくらみ」とは? バカな番組を実現させるクソマジメな仕事術とは? 「トレンドに背を向ける」「企画はゆるい会話から」「勝ち続けるために負けておく」「文句や悪口にこそヒントがある」「スベる人の面白さ」……「面白いもの」が好きな人、「面白い仕事」がしたい人、必読の一冊。

目次
はじめに
1…バカげた企みほど手間をかける
テレビを見てもらうための「下ごしらえ」
クソマジメに仕事を積み重ねる
ルーティーンで思考をやめない
見ている人の立場に立つ
「バカじゃないの」はホメ言葉
全てはクライマックスのために
2…企画は自分の中にしかない
トレンドに背を向ける
ヒントは分析から生まれる
「逆に」を考える
パクリはクセになる
二番煎じは本質を見失う
当てにいくものは当たらない
3…会議は短い方がいい
会議は煮詰まったらすぐやめる
企画はゆるい会話から
つまらない会議で質問する
反省会こそ明るく
「脳の経験値」を上げる
4…勝ち続けるために負けておく
余力があるうちに次の準備を
一定の「負け」を計算に入れておく
ピンチになったら原点に戻る
5…文句や悪口にこそヒントがある
「世間が悪い」と腐らない
怒ってもらえてありがたい
否定の意見を聞きたい
6…「イヤな気持ち」は排除する
ハードルを上げない
不快感はできるだけ消す
ネットの文句を真に受ける
「損する人」を作らない
人の生死はネタにしない
7…計算だけで100点は取れない
「段取り通り」はダメな奴
アクシデントこそ腕の見せ所
「矛盾」は人をしらけさせる
8…マジメと迷走は紙一重
悩むと脳が腐りだす
1分でも早く仕事を終わらせる
制約が効率を生む
9…企画書を通すにはコツがある
短く書いて「減点」を減らす
熱意を伝えるのはメールで
企画意図は後からついてくる
10…かわいがられた方が絶対にトク
芸人のかわいさ
口のきき方で衝突を避ける
ホメ上手はポイントを絞る
11…仕事は自分から取りに行け
あえて「遠回り」をする
キャバクラでも「修業」はできる
先輩の愚痴にもヒントがある
1つ頼まれたら2つやる
チャンスの意味を理解できるか
嫌な仕事をしたことがない
12…常識がないと「面白さ」は作れない
「面白い人」でなくていい
視野が狭い人はダメ
「言った」ではなく「伝えた」か
交渉はこちらから折れる
打ち合わせは顔色を見ながら
強い人は強さを誇示しない
悪いところがあるから良いところがある
13…芸人は何を企んでいるのか
「スベる人」も面白い
向き不向きを観察する
トークとプロレスはよく似ている
一歩引くというすごさ
14…「企み」は仲間と共に
予習と反省で進化する
「プロの仕切り」のスゴさ
「議論する」には資格がいる
誰にでも分けへだてしない
おわりに ──テレビは終わっていない

書誌情報

読み仮名 タクラムギジュツ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610501-2
C-CODE 0276
整理番号 501
ジャンル ビジネス実用
定価 858円

蘊蓄倉庫

ハードルを上げない。背伸びをしない。

 新聞のテレビ欄を見ていると、カゲキな言葉がよく目につきます。「衝撃の展開!」「今まで誰も見たことがない!」「超ド級マル秘情報!」「ナンバーワン最強爆笑ネタ」……。少しでもハデに見せよう、視聴者の興味をひこうということでしょうが、本書の著者・加地プロデューサーはこういう言葉を使わないようにしているそうです。
 実際の内容以上に誇張しても、後でガッカリされては意味がないからです。一度はダマせても次回からは見てもらえない。もともと面白い内容のものも、つまらなく見えてしまう……。「自分で自分の首を絞める」とはまさにこのことだと言うのです。
「ハードルを上げない」「背伸びをしない」。これが加地さんのモットーです。
 私たちにも、当てはまるところが多いのではないでしょうか。つい誇張した企画書を書いてしまったり、期待させるような物言いをしてしまったり。加地さんいわく、「自信のない内容も、最初からハードルを下げておけば、少しは面白いと感じてもらえるかも」とのこと。肝に銘じておきたいところです。
掲載:2012年12月25日

担当編集者のひとこと

一本のコラムから

 テレビ朝日プロデューサーの加地さんに本をお頼みしたきっかけは、一本のコラムでした。そこには、「バラエティ志望だったけれど、あえてスポーツ局を志望だと言ってテレビ局の内定を得た」というエピソードが書かれていました。「バラエティ志望」だと面接で「笑い」について語らなくてはいけないが、面接官のセンス次第で落とされてしまう可能性がある。スポーツならば知識量だけで熱意をアピールできる……。
 私はこのエピソードを読んで、ハッとしました。「ロンドンハーツ」「アメトーーク!」の面白いのは、加地さんの「しかけ」や「計算」や「戦略」――つまり「たくらみ」が働いているからではないか。そうした経緯もあって、この『たくらむ技術』を書いていただくことになりました。
 本書には、まさに加地さんの「たくらみ」が沢山詰まっています。でも決してずる賢い計算というものではありません。「いい企画は『ゆるい会話』から生みだす」「ネットの悪口にヒントがある」「不快感はできるだけ排除する」「かわいい物言いをする」「企画書はメールでフォローする」「ひな壇の席順で意図を伝える」……。その「たくらみ」は面白い番組を作り出す原動力でもあり、どんな仕事にも役立つ仕事術でもあります。
 番組が好きな方はもちろん、面白いものが好きな人、仕事に悩んでいる人にもぜひ読んでいただきたい一冊です。

2012/12/25

著者プロフィール

加地倫三

カヂ・リンゾウ

1969(昭和44)年生まれ。神奈川県出身。上智大学卒業後、1992年にテレビ朝日に入社。スポーツ局に配属後、1996年より編成制作局に異動してバラエティ番組の制作に携わる。現在、「ロンドンハーツ」「アメトーーク!」の演出・プロデューサー。

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