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防衛省

能勢伸之/著

814円(税込)

発売日:2012/07/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

予算4兆円、23万人を抱える巨大組織のAtoZ。

「防衛省」と「自衛隊」は同一の組織である。同一の組織に二つの名前。なぜこんなことになっているのか。原因は日本の安全保障が抱える「ややこしさ」にある。でも、「ややこしい」からといって知らずには済まされない。日本軍と自衛隊はどういう関係か? 防衛庁と防衛省はどこが違う? 自衛隊の実力は? 予算四兆円超、二十三万人を抱える巨大組織の歴史、実力、課題、問題点を意外な事実、秘話を交えて解説する。

目次
はじめに――防衛の話はなぜ、ややこしいのか
第1章 日本軍と自衛隊は別物か
蘇った軍艦/「旧日本軍の廃止」と存続した「部隊」/命がけの機雷処理/朝鮮半島海域でも活動/軍隊の名残
第2章 防衛省最古のDNAがなぜ「占領軍世話係」なのか
防衛省の起源を遡る/終戦連絡中央事務局/占領軍をも悩ませた「お役所仕事の低能率」/芸能人のギャラ査定も/旧安保条約/日米合同委員会の発足/米兵の犯罪問題/ジラード事件/巨大な職場/調達庁から防衛施設庁へ
第3章 マッカーサーはなぜ警察予備隊を作らせたのか
自衛権はいつ生まれたか/マッカーサー書簡の威力/警察予備隊/米軍にとっての「警察予備隊」/制服と背広/警察予備隊の装備/新たな要請/海外の再武装事例
第4章 警察予備隊と保安隊と自衛隊はどこが違うのか
「保安庁」の発足/海上警備隊から警備隊へ/保安隊と警備隊の編成/幻の「海上公安局」/防衛庁・自衛隊の発足/「国防会議」と「安全保障会議」/参事官制度/航空自衛隊の発足/「空軍」と呼ばれた航空自衛隊
第5章 統合幕僚会議とは何か
陸上・海上自衛隊の草創期/防衛担当閣僚と陸海空三自衛隊/統合幕僚会議/統合幕僚会議の機能強化/統合幕僚会議から統合幕僚監部へ/東日本大震災の巨大オペレーション
第6章 防衛庁と「防衛省」はどこが違うのか
防衛庁から防衛省へ/不祥事が後押し/防衛省の組織図を俯瞰する/防衛省の仕組み/内局(内部部局)の組織/自衛隊の人事/自衛隊の実力/改革の行く末/頓挫した抜本的改革/消えた改革
第7章 非武装中立論とは何だったのか
非武装中立論と国会論議/非武装中立/合憲か違憲か/社会党の大転換/スイスは平和国家/自衛隊と「軍隊」
第8章 防衛省のシステムは万全なのか
防衛省は安全保障を所管していない/国家の安全保障は誰が担当するのか/日本版NSCの可能性/官邸に隊員を派遣/罰則は軽い? 重い?/情報本部は機能しているか
第9章 残された問題をどう考えるか
集団的自衛権をどう考えるか/基盤的防衛力の時代/動的防衛力構想とは何か/大震災後のビジョン/自衛隊が持ってはいけない兵器とは/核の傘はあてにできるのか/武器使用規定とは/武器輸出三原則と武器輸出三原則等の違い/オフセットとは何か
第10章 武器の話はマニアのためのものか
軍事オタクは悪いことか/予算と情報公開/米ソの情報戦/情報公開の裏を読む/細かい話は「趣味の領域」?/世界の軍事記者
おわりに
参考資料

書誌情報

読み仮名 ボウエイショウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 256ページ
ISBN 978-4-10-610476-3
C-CODE 0231
整理番号 476
ジャンル 政治
定価 814円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2013/01/18

蘊蓄倉庫

宇宙戦艦ヤマトみたいな話

 大昔に沈んでいた戦艦大和を改造して、宇宙に飛び立たせる、というのが「宇宙戦艦ヤマト」の序盤のストーリーでした。荒唐無稽にも見えますが、よく似たような話が実際にあったのです。1945年7月に米軍の攻撃で瀬戸内海に沈められた駆逐艦「梨」が、引き揚げられたのは戦後9年も経った1954年のこと。普通ならスクラップですが、状態が良かったため「梨」は手入れをされた後に、海上自衛隊の警備艦として蘇り、1971年まで働くことになりました。こんな意外なエピソードを交えながら、防衛省・自衛隊の全貌を徹底解説したのが『防衛省』(能勢伸之・著)です。
掲載:2012年7月25日

担当編集者のひとこと

「戦車カッコイイ」では済まない

 知人の手引きで、自衛隊関連のイベントを見に行くことが何度かありました。アホみたいと言われることでしょうが、見るたびに「カッコいいなあ」「すごいなあ」と小学生のような感想を持ちます。
 毎年武道館で行われる「自衛隊音楽まつり」では、ブラスバンドや儀仗隊の統制の取れた動きに感嘆し、総勢200名を超える自衛太鼓の迫力に圧倒されました。富士総合火力演習では、本物の武器の爆音、威力に圧倒されました。
 見ている最中は、「戦車、カッコイイ!」と喜ぶ小学生レベルの感性になっているわけです。上の一段落の文章は「夏休みのえにっき」みたいです。
 しかし、大人としてはそれだけではまずいようにも思います。なにせ、防衛予算は年間4兆円以上。これが世界基準で多いかどうかは議論の分かれるところでしょうが、膨大な金額なのは確かでしょう。しかも、近所にはしょっちゅうミサイルを発射している国もある。
 やはりある程度、安全保障については知っておいたほうがいいのは間違いありません。
 ところが、この分野は専門用語も多く、また政治的な立場によって見解が異なる問題も多いため、とてもややこしく、全体像を知るのが難しいようです。また、自衛隊関連の書籍というと、どうしても装備(武器など)についての解説のほうが目立ちます。
 そこで本書『防衛省』の出番です。本書では、組織としての防衛省の成り立ち、現状、問題点等を中心に解説しています。素人にもマニアにも満足していただける内容になっております。
「素人」「無知」と評された過去の防衛相たちも、この本を読んでいたら、ああはならなかったかもしれません。

2012/07/25

著者プロフィール

能勢伸之

ノセ・ノブユキ

1958(昭和33)年京都市生まれ。フジテレビ解説委員。早稲田大学第一文学部卒。報道局勤務、防衛問題担当が長く、1999年、コソボ紛争をベオグラードとNATO本部の双方で取材。著書に『ミサイル防衛』『検証:日本着弾』(共著)がある。

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