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死刑絶対肯定論―無期懲役囚の主張―

美達大和/著

814円(税込)

発売日:2010/07/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

死刑こそ「人間的な刑罰」である。現役受刑者による超リアルな提言。

哀しい事実だが、犯罪者のほとんどは反省しない。監獄法の改正後、「自由」になった刑務所では、今日も受刑者たちの笑い声が響いている。裁判では頭を垂れるも内輪では「次は捕まらないよ」とうそぶく彼らを前に、何をすれば良いのか。犯罪者を熟知する著者は、彼ら自身を「死」と向き合わせるために「執行猶予付き死刑」を導入せよ、と説く。現役の無期懲役囚が塀の内側から放つ、圧倒的にリアルな量刑論。

目次
はじめに
第一章 ほとんどの殺人犯は反省しない
普段は大人しそうな人が……/放火、強姦による殺人犯/計画的な強盗殺人犯は「極悪」/喧嘩による殺人/暴力団同士の殺人/気が小さくても人殺しになりうる/倫理も道徳もない連中/他者への共感意識が希薄
第二章 「悪党の楽園」と化した刑務所
イメージと大きく違った現実/新法の施行で待遇が一変/人権派が見落としていること/「経済」の観念が欠けている/受刑者にとって犯罪は「効率」がいい/人生の最期を考えさせる/職人の養成にはちょうど良い場所/報奨金をプールして出所後の生活をイメージさせる
第三章 殺人罪の「厳罰化」は正しい
一〇年一五年は「あっという間」/被害者の命が軽すぎる/加害者の更生より被害者の生命権を/罪が軽すぎる幼児虐待殺人/ヴェテラン受刑者にとっては「遊びに来ている」感覚/アメリカ・イギリスの量刑制度/実情にそぐわない『永山基準』/違和感の残る判決/死刑基準の再設定を/一度人を殺すと殺人の心理的抵抗が減る
第四章 不定期刑および執行猶予付き死刑を導入せよ
反省の度合いを徹底的に測る制度/まず自分自身と向き合わせる/長文のレポートを書かせる/「目標」を持たせる/被害者への賠償を法制化する/刑務所職員の絶対数が不足している
第五章 無期懲役囚の真実
平均服役期間は三〇年以上/「無事故」でいるのは難しい/無期囚同士の奇妙な連帯感/「反省」によって仮釈放に差を設けよ/将来の展望がない者がほとんど
第六章 終身刑の致命的欠陥
囚人を「効率的」に使った明治の日本/欧米の終身刑/終身刑の受刑者は反省しなくなる/刑務所の風紀が悪化する/終身刑は「思考停止」の産物
第七章 死刑は「人間的な刑罰」である
私が出会った二人の死刑囚/死刑囚との対話/死と向き合うことが改悛の情につながる/「世界の潮流だから」は理由にならない/犯罪抑止効果は条件によって変わる/冤罪の問題/「犯行の態様」を熟視せよ/遺族の苦しみは一生続く/粛々と執行せよ
第八章 無期懲役囚から裁判員への実践的アドバイス
「再開」した裁判員制度/「更生の可能性」は考慮しなくていい/被告人の表情を見逃すな/被告人は法廷でウソをつく/「裁判員のカタルシス」より「犯罪行為の責任」を/死刑の求刑を恐れない/裁判官個人の心情に流されない
おわりに

書誌情報

読み仮名 シケイゼッタイコウテイロンムキチョウエキシュウノシュチョウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610373-5
C-CODE 0232
整理番号 373
ジャンル 社会学、事件・犯罪
定価 814円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/05/25

蘊蓄倉庫

長期刑務所受刑者の時間感覚

「一〇年なんて、ションベン刑だ」「一五年くらいで一人前」「こんなに早く時が過ぎるとはねえ」……。長期刑務所の受刑者たちは、塀の中でこんな会話を交わしているそうです。著者によると、長期刑務所の時間感覚は、世間一般の感覚とまるで違うとのことです。自身、二十年を塀の内側で過ごしてきた著者自身、「本当に二〇年も経ったのか」と信じられない思いがする、と言います。裁判員を務めることになった方には、知っておいて頂きたい事実です。
掲載:2010年7月23日

著者プロフィール

美達大和

ミタツ・ヤマト

1959(昭和34)年生れ。無期懲役囚。刑期十年以上かつ犯罪傾向が進んだ者のみが収容される「LB級刑務所」で服役中。罪状は二件の殺人。著書に『死刑絶対肯定論』(新潮新書)『ドキュメント長期刑務所』(河出書房新社)『夢の国』(朝日新聞出版)がある。

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