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ツキの波

竹内一郎/著

748円(税込)

発売日:2010/04/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

一生幸運だけの人もいない。不運だけの人もいない。『人は見た目が9割』著者が読みとく阿佐田哲也の「運の法則」

人間はツキを支配や制御することはできないが、その性質を知り、波を利用することはできるのではないか。ツキという不思議な存在を誰よりも深く考え、語り続けてきた作家、阿佐田哲也(色川武大)。その思想は現代人にとって大きな指針となる。「人間の運の総量は一定である」「欠点を守り育てよ」「勝つ人柄はつくれる」「ヒットを打つよりフォームを固めよ」――遺された至言の数々を『人は見た目が9割』の著者が読みとく。

目次
はじめに
第1章 運の総量は一定である
ツキのフクロ/ツキを考え続けた男/力道山の死を予言/タモリはだいじょうぶ/ツキには限度がある/阿佐田哲也の経歴/運は一定/幸運も不運も一生ではない/差し潮に乗る/全勝は無理なこと/攻め時、守り時/運の総量に差はない/個人を超える運/非市民社会の論理/欠点を守り育てる
第2章 直感は考え抜いた末に出来上がる
運のやり取り/ミスをするな/偏りの存在/流れとは何か/直感に頼る/「強さ」の不思議/若いうちは突っ張る/自信は結果が生む/勝てない人とは/勝つ人柄はつくれる/勝負の降り方/絶対に負けない法/落ち目の人を利用する/鉄火場のルール/ツキを利用する/勝負を降りない/自然体の厳しさ/主役と脇役/ツキの燃焼/場の空気について
第3章 勝利は終末への第一歩
前向きに生きない/博奕の起源/占いと博奕/結局は焼け跡に戻る
第4章 ヒットを打つよりフォームを固めよ
三つの“掟”/気力は決め手にならず/ゴールは見えない/ヒットよりもフォームが大事/人生のトータル/単純な得はない/淀まず、あわてず、後戻りせず/優等生の弱点/二番手は強い/スケールを大きくする/極め球を二つ持つ/お化けのように曖昧に生きる
第5章 真理は市民社会の外にある
非言語情報と自然の理/丁半博奕の価値/強きを助け、弱きをくじく/原則と第二原則がある/第二原則というトリック/何をとって、何を捨てるか/本気といい加減は混じる/バランスを崩す/若さと仕掛け/怠惰を求めて勤勉に行きつく/二律背反の世界
第6章 「運の達人」たちに学ぶ
運のエキスパート/山本五十六の運/戦争とツキ/逃げるも勝ち/勘の良さは才能のひとつ/勘は磨かないと停滞する/名将のツキ/兼好法師の断言/勝負事の入門書/未来予知か遊びか
終章 世界は乱雑なまま肯定される
縁の不思議/法則の外にいる人/盛りが原因で衰える/本能の持つ力
参考文献

書誌情報

読み仮名 ツキノナミ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610363-6
C-CODE 0210
整理番号 363
ジャンル 倫理学・道徳、教育・自己啓発、趣味・実用
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/05/25

蘊蓄倉庫

力道山の死

 昭和38年、作家の阿佐田哲也氏の周囲で「今年、50歳以下で死ぬ有名人は誰か」という賭けをしたそうです。このとき阿佐田氏が挙げた名前が「力道山」でした。そして実際、その年の末、力道山は暴漢に刺されて早世してしまいました。誰よりも「運」や「ツキ」について考え抜いた阿佐田氏らしい逸話です。この阿佐田氏が遺した様々な名言を、読み解いたのが『ツキの波』(竹内一郎・著)。人生の指針となる深い言葉が詰まっている一冊です。
掲載:2010年4月23日

担当編集者のひとこと

勝ちすぎれば、ツキのフクロは、必ずやぶける

 新書編集部では、毎日、教養新書の売り上げデータを見ることにしています。創刊以来なので、もう7年も続けている日課です。
 この間、いろいろな栄枯盛衰を見ました。自分たちのことを言えば、創刊時には、上位ベスト10をほぼ独占、という景気のいい出来事もありました。
 かと思えば、ベスト40にほとんど1冊も入っていないというような時期もありました。
 売れていないときの本が、良くない本かといえばそういうこともなく、理由を考えればいちおうこじつけられるものの、実際のところ、ある程度は「ツキ」の問題という気がします。努力や知恵の不足を棚に上げるなと会社の人からは怒られそうですが、実際そんな気がするから仕方がありません。
『ツキの波』を読むと、なんとなくそのへんの事情が見えてきます。ツキという理不尽なものをどう考えればいいか。合理的思考で否定しようとしてもしきれない、ツキという存在について、阿佐田哲也氏の遺した名言をもとに著者は読み解いていきます。どの言葉も深く頷かされるものばかりです。
「勝ちすぎれば、ツキのフクロは、必ずやぶける」
 これは阿佐田氏が生前、イラストレーターの和田誠氏に語った言葉だそうです。自分自身のこと、世間のことを見ても、この言葉通りだと思うことがよくあります。
 昨年夏に大勝し、今は人気が急降下してしまったあの人を見ても、なるほどなあと思うのです。

2010/04/23

著者プロフィール

竹内一郎

タケウチ・イチロウ

1956(昭和31)年福岡県久留米市生まれ。劇作家・演出家。横浜国大卒。さいふうめい名義で漫画『哲也 雀聖と呼ばれた男』の原案を担当。演劇集団ワンダーランド代表。著書に『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』(サントリー学芸賞)、『人は見た目が9割』など。

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