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間違いだらけのアトピー治療

竹原和彦/著

748円(税込)

発売日:2005/10/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

アトピーは決して難病ではない! 専門医がすすめる正しい療法。

あたかも“現代の難病”のように認識されるアトピー性皮膚炎。その誤解・偏見から様々な民間療法がはびこり、イジメ、自殺などの事件も後を絶たない。だが、アトピーは決して難病などではない。皮膚科の専門医にとってはあくまで平凡な慢性疾患であり、正しい療法さえ守れば一〇〇パーセント治る病気なのである。アトピー治療の第一人者が、誤った認識をただし、悩む患者、家族に「正しい療法」をわかりやすく提示する。

目次
はじめに
第一章 基本的な理解の間違い
アトピー性皮膚炎は難病である
アトピー性皮膚炎の治療は難しい
一生治らないと思って付き合わなければならない
表面だけ治しても意味はなく、根本から治す必要がある
赤味の強いところやジクジクした部分の症状だけが重症である
患者さん特有の乾燥肌は良くならない
治療のゴールはすぐに完治させることである
第二章 アレルギーに関する間違い
アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患である
アレルギー検査で原因が分かる
アレルギー検査で陽性となるのはアレルギー患者だけである
IgEの抗体値が重症度と一致する
小児のアトピー性皮膚炎の多くは食物アレルギーである
アレルゲンを完全除去すれば完治する
母親が妊娠中に食事制限をすると、子供の発症を防げる
重症の食物アレルギーでは、アトピー性皮膚炎と同時にショックを起こす
第三章 ステロイド外用薬に関する間違い
徐々に効きが悪くなる
効かない例が存在する
「毎日→一日おき→三日に一度」といったペースで止めていく
三日使ったら三日休むように
顔には使ってはいけない
眼の周りには使ってはいけない
眼の周りの皮膚には眼軟膏を使用する
妊娠中には使用してはならない
かゆみが楽になれば使用を中止する
副作用を減らすためにワセリンで希釈する
特別な効果を期待して他の薬とブレンドするとよい
第四章 標準的な治療に関する間違い
ステロイド外用薬が効かない場合は、ステロイド内服薬を使用する
抗アレルギー薬を長期に内服すると体質が改善できる
アレルギーを抑える薬による眠気は我慢するしかない
プロトピック軟膏は夢の新薬である
妊娠中にプロトピック軟膏を使用してもよい
プロトピック軟膏は発癌性のある薬である
保湿を毎日欠かさないことが大切
漢方薬の効果はじっくり出てくるので、一年以上試みる
治療はアトピー性皮膚炎専門の医療機関がよい
患者さんから質問すると医師の心証を悪くするのでしない方がよい
第五章 生活上の注意に関する間違い
ストレスを減らさないとよくならない
肉類や甘いものを避ける
子供の患者はプールに入らない
石鹸は必ずアトピー用の低刺激のものを使用する
洗濯には特殊な洗剤を使う
衣類は天然素材のものにする
温泉地で長期療養すると改善する
子供の患者が外出する際には、日焼け止めが必要である
顔がかゆいときは叩くようにする
第六章 特殊療法に関する間違い
テレビで紹介された新しい治療は試してみる価値がある
医師や医学博士の推薦する治療法は信用できる
特殊療法をいろいろと試してくれる医師ほど良心的である
「研究所」「センター」といった機関で研究されたものは、安心して試せる
カウンセリングのシステムを持っている民間療法は良心的である
特殊療法開始後の症状の悪化は「好転反応」である
海洋深層水は有効である
ジクジクしたところをイソジンや超酸性水で消毒する
アルカリイオン水飲料で体質を変える
温泉の水を宅配して、循環風呂で繰り返し入浴する湯治は有効である
「免疫力を高める」健康食品は有効である
ステロイドの入っていない奇跡の薬が中国より個人輸入で購入できる
コラム
(1) 悲惨! アトピー性皮膚炎が起こした社会的事件
(2) ステロイド外用薬とそのクラス
(3) 日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療ガイドライン
(4) アトピービジネス
(5) アトピービジネス訴訟
(6) 『アトピーの女王』
(7) 桃源クリーム事件

書誌情報

読み仮名 マチガイダラケノアトピーチリョウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610139-7
C-CODE 0247
整理番号 139
ジャンル 暮らし・健康・料理
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/02/24

蘊蓄倉庫

“アトピーはアレルギーが原因”はホント? ウソ?

 そもそもアトピー性皮膚炎は、一九三三年に米国の皮膚科医によって提唱された病名でした。ちなみにアトピーとは「奇妙な」「とらえどころがない」という意味のギリシャ語から来た言葉です。この語源が示すように、発症のメカニズムは複雑なものがあり、未だに充分に解明されていないのが実情です。よくアトピーというと、イコール“アレルギー”という考えが定着してしまっていますが、実はそれも誤った認識なのです……。
 確かにアトピー患者の血中を調べると、アレルギー反応を起こすIgE抗体が高率で検出されます。しかしアレルギーが因となり直接引き起こす症状は、あくまで皮膚ではジンマシンであり、気道では気管支喘息、眼や鼻では花粉症なのです。
 アレルギーと結びつけられるようになったのは、二つの関係性が解明される前にIgE抗体測定が保険適応となり、広く診療の場で測定されるようになったことが原因にありました。元来は一つの参考事項にすぎなかったIgE抗体が、実際に測定して陽性反応が出ると、医師も短絡的にそれが原因と考えるようになっていってしまったのです。

掲載:2005年10月25日

著者プロフィール

竹原和彦

タケハラ・カズヒコ

1954(昭和29)年兵庫県生まれ。金沢大学医学部皮膚科教授。東京大学医学部卒業。日本皮膚科学会、厚生労働省強皮症研究班等の活動の他に、日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎問題」の担当理事を務める。著書に『アトピービジネス』『患者から学んだアトピー治療』など。

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