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山本周五郎のことば

清原康正/著

748円(税込)

発売日:2003/06/20

  • 新書
  • 電子書籍あり

辛いとき悲しいとき、励ましてくれたのはいつも周五郎だった。生誕100年に贈る名フレーズ集。

「女があり、男がある、かなしいもんだな」――ごく普通の人たちの生きる苦しみや哀しみや、ささやかだが深い喜びを描きだした山本周五郎の小説。その全作品のなかから、印象的な場面のフレーズと心にしみる名言を清原康正による選・解説で紹介する。単なる名文句集にとどまらず、山本周五郎文学案内の役割も兼ねた絶好の入門書。生誕百年記念に贈る特別企画。

目次
はじめに
第一章 下町――人情のぬくもり
柳橋物語
おたふく
むかしも今も
かあちゃん
並木河岸
落葉の隣り
おさん
榎物語
枡落し
第二章 職人――矜持と意地
ちゃん
凍てのあと
さぶ
あとのない仮名
第三章 岡場所――苦界の女たちの涙
夜の辛夷
ほたる放生
つゆのひぬま
なんの花か薫る
しづやしづ
将監さまの細みち
第四章 士道――武士の本分
樅ノ木は残った
大炊介始末
上野介正信

山彦乙女
橋の下
若き日の摂津守
ながい坂
へちまの木
第五章 医道・芸道・婦道――ひとすじの道
赤ひげ診療譚
虚空遍歴
おれの女房
扇野
小説日本婦道記
第六章 滑稽――ユーモアとペーソス
日日平安
よじょう
ひやめし物語
雨あがる
末っ子
偸盗
ひとごろし
第七章 不思議――夢か現かワンダーランド
屏風はたたまれた
その木戸を通って
あだこ
肌匂う
第八章 法――裁きとゆるし
五瓣の椿
しじみ河岸
深川安楽亭
ちくしょう谷
十八条乙
改訂御定法
第九章 現代――都市と人間
青べか物語
季節のない街
おごそかな渇き
第十章 エッセイ――読者へのエール
小説について
自作について
身辺雑感
付録 文庫ガイド──引用作品の全文を読むために

書誌情報

読み仮名 ヤマモトシュウゴロウノコトバ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610020-8
C-CODE 0295
整理番号 20
ジャンル 文学・評論、ノンフィクション
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/06/29

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現代に生きる言葉の力

 山本周五郎の作品は、一点の心配もなく、健康で元気で豊かに楽しく暮している人々には無縁な世界なのかもしれません。
 ご本人の言うように「人間の人間らしさ、人間同士の共感といったものを、満足やよろこびのなかよりも、貧困や病苦や失意や、絶望のなかに、より強く私は感じることができる」からです。
 それゆえ、周五郎の小説は世の中が金銭と快楽と熱気で浮かされている時代には、ひっそりとしかし脈々と流れている地下水のようなものだったかもしれません。
 時代は変わります。周五郎のことばはまるでたった今書かれたかのような響きを伝えるのです。
「私は心中したり自殺したりする人たちに、心から呼びかけたいのである。人生にも四季があり、好況と不況とはつねに付いてまわる。人間がもっとも心をひきしめなければならないのは不況に際してではなく、好景気のときなのだ」
 清原康正編著『山本周五郎のことば』は言葉の力に溢れています。

掲載:2003年6月25日

著者プロフィール

清原康正

キヨハラ・ヤスマサ

1945(昭和20)年、旧満州鞍山生まれ。同志社大学卒業。文芸評論家。著書に『中山義秀の生涯』、共著に『昭和文学の風景』など。

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