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文明が衰亡するとき

高坂正堯/著

1,815円(税込)

発売日:2012/05/25

  • 書籍
  • 電子書籍あり

衰退は必然なのか――。マクニール『世界史』に並ぶ歴史の名著!

なぜ文明は衰亡してしまうのか? 繁栄の中に隠された失敗の本質とは? 古代の巨大帝国ローマ、中世の通商国家ヴェネツィア、そして現代の超大国アメリカ……栄華を極めた強国が衰退する過程を詳しく検証、その驚くべき共通項を洞察する。人類の栄光と挫折のドラマを描く、日本人必読の史的文明論。【文字拡大改版】

目次
序章 いま、なぜ、衰亡論か
第一部 巨大帝国ローマの場合
第一章 美徳の喪失
ギボンからウェーバーまで/軍団の力を弱めたもの/誇り高き共和政の変質
第二章 大衆社会状況の出現
輝かしき五賢帝時代の叡智/繁栄を支えるエリートの精神/政治文化に忍び寄る頽廃
第三章 巨大なものの崩壊
財政破綻から始まった/増税と不公平税制の結果/それ自身の重みに圧せられて/危機意識がローマを振り返る
第二部 通商国家ヴェネツィアの栄光と挫折
第一章 小人工島国の興隆
干潟の上の絢爛たる国/巧みな外交の勝利/商業活動に見る秀れた知恵/野心と専横を許さぬ政治体制/際立つ社会組織能力
第二章 繁栄を襲った試練
優位条件の静かな変化/逆境からの脱出の努力/造船能力の低落/回復力を失うとき
第三章 豊かな社会の内なる変化
守旧的性格の増大/通商国家の脆弱性/自由で強い精神の衰弱
第三部 現代アメリカの苦悩
第一章 戦後アメリカの都市の盛衰
都市論の意味/郊外化がもたらした罪/「戦後」に描かれた夢/最先進国のアイロニー/「再生」可能を示す成熟
第二章 優越の終り
分水嶺となった一九七一年/理想主義の敗北・ベトナム戦争/トランスナショナリズムの自己矛盾/アメリカニズムからの脱却
第三章 工業文明への信念の動揺
コカコラニゼーションへの憧れ/ローマ・クラブの『成長の限界』/豊かさへの罪悪感/石油危機と南北問題
第四章 大きな政府と活力の衰頽
威信を失した大統領府/福祉国家の疲れた政府/企業における“やる気”の減退/近代合理主義が生んだ病い
終章 通商国家日本の運命
アメリカの今日をどう見るか/日本をめぐる国際構造の変化/ヴェネツィアとオランダの教訓/明日の世界に生きるために
あとがき

書誌情報

読み仮名 ブンメイガスイボウスルトキ
シリーズ名 新潮選書
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判変型
頁数 304ページ
ISBN 978-4-10-603709-2
C-CODE 0330
ジャンル ノンフィクション
定価 1,815円
電子書籍 価格 1,232円
電子書籍 配信開始日 2016/11/11

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担当編集者のひとこと

文明が衰亡するとき

今こそ衰亡論に学ぶべき 累計57刷、20万部超――。
 ロングセラーが多い新潮選書の中でも、本書の売れ行きは際立っています。
 もちろん世の中には20万部以上売れている本は他にもたくさんあります。しかし、その多くはほんの1~2年で輝きを失い、10年後も読むに値する本は数少ないのではないでしょうか。
 しかし、本書は刊行から30年も経っているにもかかわらず、ますますその輝きを増しているように見えます。それは、日本の衰亡が懸念される時代になったからだけではなく、この本が安易に「衰亡を避ける方法」を追い求めず、むしろ「衰亡と向き合う姿勢」について書いているからでしょう。
 たとえば、序章の「いま、なぜ、衰亡論か」、あるいは終章の「通商国家日本の運命」などを読むと、まるで現在の日本人に向けて語りかけていると錯覚するほど的確な示唆に満ちています。「方法」は時代の流れとともに陳腐化しますが、「姿勢」はいつの時代も変わらないようです。
 今ほど日本人が本書を必要としている時はない……そのような思いから、このたび、文字拡大改版を行い、とても読みやすくなりました。
 ぜひ一人でも多くの方にお読みいただければ幸いです。

2016/04/27

著者プロフィール

高坂正堯

コウサカ・マサタカ

(1934-1996)1934年、京都市生まれ。京都大学法学部卒業。1963年、「中央公論」に掲載された「現実主義者の平和論」で鮮烈な論壇デビューを飾る。1971年、京都大学教授に就任。『古典外交の成熟と崩壊』で吉野作造賞受賞。佐藤栄作内閣以降は外交ブレーンとしても活躍。新潮選書から刊行した『世界史の中から考える』『現代史の中で考える』『文明が衰亡するとき』『世界地図の中で考える』がいずれもベストセラーとなる。1996年没。

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