ホーム > 書籍詳細:水の健康学

水の健康学

藤田紘一郎/著

1,210円(税込)

発売日:2004/07/16

  • 書籍

長寿の秘訣は、水にあり! 知れば知るほど不思議な、水の性質とからだの関係。

体重の約6割を占める水は、酸素や栄養素を全身に運んで老廃物を排出し、体内の環境バランスを保つなど、重要な働きを果している。ミネラルウォーター、海洋深層水、アルカリイオン水など、さまざまな水の性質を解明し、老化や病気の予防に役立つウォーター・レシピを紹介。水道水の危険性も指摘しながら、水と健康をめぐる問題をやさしく解説する。

目次
はじめに
序 章 水はいのち
ブランコで蘇る生命誕生の思い出
水辺への郷愁を誘う羊水中の生活
どのようにして地球に水ができたか
生命が誕生した海
海水と生物の体液のミネラルバランス
いのちの水を求めて
生きとし生けるものすべて水の現成
第二章 水と人間のからだ
クウェートの砂漠での経験から
喉が渇いたとき、水を飲んではいけないのか
いい汗・わるい汗
熱中症はなぜ起こるのか
熱中症の予防と応急処置
いつまでも「みずみずしい」肌に
飲む「化粧品」
脳の水と目の水
涙の役割
鼻水が重要なわけ
体内の水濃度を調節する腎臓

第三章 水は不思議な物質
水の超能力を知ろう
とても特異な水の構造
水の構造と酒の熟成との関係
刻々と変化する水の構造
氷は無秩序な結晶
氷の種類と結晶構造
天から送られた手紙
雪どけ水の活性化作用と水の構造
水分子のクラスターの測定法
おいしい水はクラスターが大きい
浄水器でクラスターは変化するか
クラスターを変化させる要因
日本と外国のミネラルウォーターのクラスター
水の表面張力と界面活性剤
水は熱しにくく、冷めにくく、蒸発しにくい

第四章 水にはこんな効用がある
奇跡の泉・ルールド
魔法の水・雪どけ水
若返りの水と「変若水の信仰」
死の水・蒸留水
超純水・半導体生産には不可欠
重水・ブランデーより高価な水
スポーツ飲料水はTPOで選べ
ミネラルウォーター・日本産と外国産との違い
硬水と軟水
海洋深層水・地球からの贈り物なのか
活性水・確かにすばらしい効果がある
機能水・どこまで奇跡の水か
アルカリイオン水・いくつかの病気に効果
酸性水、清水、アルカリイオン水
電解還元水・本当に活性水素は存在するか
πウォーター・ただの水にすぎないのか
回帰水・セラミックスに通した活性水
創生水、ナノ・ウェーブ

第五章 水を飲んで健康になろう
発ガンや老化を抑える、からだに合った水
長寿の秘訣はカルシウムにあった
心筋梗塞や動脈硬化を予防する水
硬水が心筋梗塞を抑える疫学的証拠
脳梗塞を防ぐ「宝水」
「目覚めの一杯」で健康状態がわかる
骨粗鬆症や疲労を改善する水
糖尿病を予防するウォーター・レシピ
胃腸のためのウォーター・レシピ
ゴルフにも水分補給が必要
「ウォーターローディング」でからだを作る
美人になれるウォーター・レシピ
更年期障害には十分な水と「ムコ多糖」
「水飲みダイエット」の提唱
「冷水を飲んでダイエット」の科学的根拠
ウーロン茶のダイエット効果
水分を絞るダイエットは、いのちも絞る

第六章 日本の水道水がアブナイ
安全でなくなった日本の水道水
発ガン性物質・トリハロメタンの発見
流産を起こすトリハロメタン
トリハロメタンのない水道水に向けて
ブルーベビー病を起こす硝酸性窒素
水道水にも増えている硝酸性窒素
発ガン性物質にもなる硝酸性窒素
小児糖尿病を引き起こした犯人
有機溶剤の水道水汚染
酸化還元電位の高い水をつくる塩素
寄生虫による水道水汚染

終 章 安全な飲料水を求めて
水源を汚染し続ける日本人
水道に不信感・味覚や健康を買う消費者
家庭の必需品となった浄水器
健康志向が後押し・浄水器や整水器の開発
より安全でおいしい水を求めて
おわりに

参考文献

書誌情報

読み仮名 ミズノケンコウガク
シリーズ名 新潮選書
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 200ページ
ISBN 978-4-10-603539-5
C-CODE 0347
ジャンル 家庭医学・健康
定価 1,210円

インタビュー/対談/エッセイ

からだにいい水

藤田紘一郎

「秋田美人の秘密は何でしょうか」
「毎日新聞」秋田支局の記者から、私は突然こんな質問を受けた。
「それは雪どけ水のせいですよ」と即座に答えたのだが、さらに「雪どけ水には、何か特別なものがとけ込んでいるのですか」と聞かれた私は、「雪どけ水の若返り作用は科学的に実証されているのです」と答えた。
 氷がとけた水に、生物を活性化させる作用のあることが初めて明らかにされたのは、北極でのことだった。氷がとけたばかりの海水のなかで、プランクトンの異常な増殖が見られたのである。
 また、氷や雪がとけた水が農作物の収穫率を一・五~二倍も増やしたり、若鶏の成長を早めたり、鶏の産卵率や牛の乳量を増加させたりしていることも確かめられている。
 昔から、米どころには美人が多いといわれるが、豪雪がおいしい米を作り出し、美人を生み出したりしているのだろう。
 寄生虫学や感染症学が専門である私は、「水が運ぶ病原体」を研究しているうちに、世界の飲料水の調査をしてみようと思い立った。好奇心のかたまりである私は、これまでに六○ヶ国以上を訪ね、飲料水を検査し、実際に自分で飲んでみた。
 なかでも最も印象に残っているのは、ヒマラヤ山麓のネパールの高原に暮すフンザ族や、南米の奥深くの高原地域に住むビルカバンバの人々で、そこには一○○歳を超える人がたくさんおり、驚くべきことに、彼らは長寿の原因が、自分たちが飲んでいる水にあることを知っていたのである。
 彼らの飲料水は、まさに「からだにいい水」だったのだが、日本もかつては安全でおいしい水に恵まれた国であった。
 ところが、水源となる河川の汚染などさまざまな原因によって、水道水に不安を覚える人が増え、日本は飲み水を輸入する国になってしまった。現在、ミネラルウォーターは、年間一○○○億円を超える市場になっている。
 私は水の不思議な作用を研究しているうちに、さまざまな病気を飲み水で治すことができるのではないかと考えるようになった。
 長嶋茂雄さんや西城秀樹さんが脳梗塞で倒れられたが、発症前の様子を見てみると、水の飲み方に問題があったように思われてならない。
 私は本書で、ガンや心筋梗塞、脳梗塞などの予防、骨粗鬆症や疲労の改善、ダイエットのためには、どんな水をどのように飲めばいいのか、ウォーター・レシピ(水の処方箋)を作ってみた。
 すべての人に合う「万能薬のような水」は決して存在しない。大切なのは、自分の健康状態と、いろいろな水の性質を把握したうえで、自分に合う水を探すことなのである。

(ふじた・こういちろう 東京医科歯科大学大学院教授)
波 2004年8月号より

担当編集者のひとこと

長生きの秘訣は、水にあり!

 今年は、各地で平年より1週間ほど早く梅雨明けしたそうです。38度などという驚異的な気温が続いて、熱中症のニュースが連日のように報じられています。 どうして熱中症になるのか。その仕組みをご存じでしょうか。暑いと汗をかきますが、これは汗の蒸発によって体温が上がらないようにしているのです。ところが、からだが暑さに慣れていないと体温調節機能がうまく働かず、体内に熱が蓄積してしまいます。これが熱中症です。脳細胞は熱に弱いので、ひどい場合は死にいたることさえあります。
 人間のからだの約6割は水分です。汗はもちろんのこと、酸素や栄養素を全身に運んで老廃物を排出し、体内の環境バランスを保つなど、重要な働きを果しています。
 本書では、ミネラルウォーター、海洋深層水、アルカリイオン水など、さまざまな水の性質を解明し、どんな水をどのように飲めば、ガンや心筋梗塞などの病気を防ぐことができるのかを紹介します(熱中症の予防と応急処置もあります)。水と健康についてのすべてがわかる一冊です。

2004/07/16

著者プロフィール

藤田紘一郎

フジタ・コウイチロウ

1939年、中国・旧満州生まれ。東京医科歯科大学医学部卒、東京大学医学系大学院修了。医学博士。東京医科歯科大学名誉教授。人間総合科学大学人間科学部教授。NPO自然免疫健康研究会理事長。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。『原始人健康学』『水の健康学』『パラサイト式血液型診断』(新潮社)、『笑うカイチュウ』(講談社文庫)、『免疫力を高める快腸生活』(中経の文庫)、『アレルギーの9割は腸で治る!』(だいわ文庫)など著書多数。

この本へのご意見・ご感想をお待ちしております。

感想を送る

新刊お知らせメール

藤田紘一郎
登録
家庭医学・健康
登録

書籍の分類