ホーム > 書籍詳細:カラスの早起き、スズメの寝坊―文化鳥類学のおもしろさ―

愛すべき個性派ぞろい! まるで人間社会のような、鳥たちの愉快な日常生活。

カラスの早起き、スズメの寝坊―文化鳥類学のおもしろさ―

柴田敏隆/著

1,404円(税込)

本の仕様

発売日:2002/07/18

読み仮名 カラスノハヤオキスズメノネボウブンカチョウルイガクノオモシロサ
シリーズ名 新潮選書
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 238ページ
ISBN 978-4-10-603515-9
C-CODE 0345
ジャンル 生物・バイオテクノロジー
定価 1,404円

モズ、カラス、スズメ、フクロウ、ウ、オオタカ……様々な環境に適応して高度に進化した鳥たちは、苛酷な状況を生き抜くためにみごとな知恵を発揮する。感情表現豊かなその生態は、知れば知るほど、人の姿を連想させる。文化人類学ならぬ、「文化鳥類学」の視点から、鳥たちの社会を、いきいきと描くネイチャー・エッセイ。

著者プロフィール

柴田敏隆 シバタ・トシタカ

1929年、横須賀生れ。コンサーベイショニスト(自然保護に、話のわかるプロとして携わる人、の意)。(財)日本自然保護協会理事。横須賀市博物館学芸員、(財)山階鳥類研究所資料室長を経て、フリー。NHKテレビ「茶の間の科学」「ポケットサイエンス」に長く出演し、ユニークな語り口で人気を博した。第9回田村賞受賞。『かながわの鳥』『私の愛鳥講座』『ツルはなぜ一本足で眠るのか』(共著)などの著書がある。

書評

自然と人間への深い洞察

進士五十八

 いまどきの教養人としては、「自然」とか「環境」に無縁とはいくまい。
 しかし根っからの文系人間の方などには、「自然」等にあまり親近感を持てない、この世の中には、そういうひとも少なくない。
 この本には、自然大好き人間ばかりでなく、そういう文系人間をも魅了する“生き物基調の文明観”が溢れている。
 近年は政治家や財界人でも「自然保護」を説く時代だ。それは勿論、大変結構なことである。
 ただ、どうも俄か論者のは教条主義的で面白くない。他方、動・植物学者の保護論は事実に即してはいるのだが、素人には詳しすぎて疲れる。また活動家のは、生物第一の絶対主義が激しすぎる。
 およそ、「自然」というものは、もっと豊かで面白く、ドキドキする新発見やすばらしさ、そして何か自分自身に還元される感動や深い意味を与えてくれるものだろう。
 しかし、何事も専門化し、自然のごく一部のみを専門とする専門家社会となってしまった今日、そんな「自然」の全体像を語り得る博学の哲人など、正に「レッド・データ・ブック」的存在である。
 著者、柴田敏隆氏は、単なる野鳥研究者でも、ナチュラリストでも、本人が標榜するコンサーベイショニスト(自然保護活動家)でもない。平成の南方熊楠ならぬ、自然と人間への深い洞察をもつ博物学の哲人である。それも机上の空論を弄ぶ哲人ではない。野鳥はもとよりあらゆる生き物をフィールドに追い、子どもから大人まで、アマからプロまで、生物的自然の魅力を一二〇パーセント伝える環境教育実践のひとである。
 著者は日本最大の自然保護団体である日本野鳥の会の、機関誌「野鳥」の編集者を務め、そしてまた山階鳥類研究所での研究者でもあったが、最も尽力されたのは永年にわたる地元横須賀市での自然観察会での指導であり、日本自然保護協会理事として全国の自然観察指導員の養成であろう。指導者を指導する、わが国最高のインタープリターである。
 だから面白い。心底から納得する。その説得力は、単なる博識にあるのではない。本書は副題に「文化鳥類学のおもしろさ」とあるとおり、野鳥そのものの興味深い話題満載だが、それが人と鳥の関係、さらには鳥の目でみた現代文明批評へと発展し、結果的に本来的な「人間と自然の関係」への深い考察となっている。かと言って、それが少しも難しくない。すべてがわかっているからこその“わかり易い名文”で綴られている。
「モズの恋」「彼か? 彼女か? アオバズク」に始まり、「冬のツバメ」「朝霞市をいでず」に終る目次を読むだけでも壮大な柴田ワールドが広がる。
 時に藪内正幸画伯の野鳥画があって、これまた別の神秘世界を垣間見ることもできる。
 しかし、ともかく面白い。そしていろいろ考えさせられる。日本の将来のためにも必読の書といえるだろう。

(しんじ・いそや 東京農業大学長)
波 2002年8月号より

目次

まえがき
Ⅰ 鳥社会の不思議
モズの恋
彼か? 彼女か? アオバズク
コジュケイの夫唱婦随
離間と向触
雪加の旦那
コンコン鳥の亭主
先頭に立つのは誰?
ハトは平和のシンボル?
男の浮気は自然公認
ツッパリの原点
ためらい
鳥と音楽<

Ⅱ 驚異の身体システム
鵜の目鷹の目
渡り鳥の燃料消費率
左右非対称
昼でも飛べる夜の猛禽
エクリプス
にわとりのジョナサン
夜烏の正体
青空をすべるサシバの渡り
腸管短縮
チック症
自動巻き時計
過ぎたるは……
卵歯
フクロウの足
海水を飲んではいけない?
遊休脳
おめめきょろきょろ
寒さ知らず
Ⅲ 自然界のバランス
鬼子母神のシステム
慈悲と本能
縁木而求魚
七つの子
一富士二鷹
弱きは滅ぶ
リンの運び戻し屋
鳥の清掃
鳥が運ぶもの
嫁入り修行、あるいは見習い奉公
鳥葬
わしらもラーメン
鶯餅の色

Ⅳ 野生と適応
白鷺・黒鷺・白黒鷺
オートライクスの末裔
とり型? けもの型?
鳥のシンナー遊び
カラスの黒白
都市のシナントロープ
冬のツバメ
始め面白うて
黒いイカルスたち
鳥の凝り性
精神一到何事か成らざらん
土地っ子とよそ者
思惑はずれ
夜間飛行
仇敵
ドバトへの偏見
朝霞市をいでず

あとがき
主な参考文献

まとめテーマでくくる 本選びのヒント

担当編集者のひとこと

凝り性、浮気性、一途な努力家、世渡り上手のちゃっかり者……。鳥の世界は、愛すべき個性派ぞろい!

 東京などの都市に住んでいても、意外にたくさんの鳥を見ることができます。カラスやスズメはもちろんですが、ビルの片隅に毎年ツバメが巣を作ったり、メジロやムクドリ、カワラヒワなどが小さな庭を訪ねて来ることもあります。カラスの賢さやユニークさは有名ですが、他の鳥たちも負けず劣らず個性的です。たとえば、鳥の世界もオシドリ夫婦ばかりではありませんし、なかには子育てを一切しないメスさえいます。また、さまざまな環境に適応した体のしくみは見事というほかありませんし、生き延びるための知恵者ぶりはなかなかのもの。感情表現豊かなその生態は、知れば知るほど、人間の姿を連想させます。
 本書は、身近な鳥から、オオタカ、フクロウ、ウ、オオミズナギドリなどといった普段はなかなか出会えない鳥まで、さまざまな鳥たちの愉快な生活を、文化人類学ならぬ、「文化鳥類学」の視点でいきいきと描くネイチャー・エッセイです。

2002/07/18

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