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須賀敦子が歩いた道

須賀敦子/著 、松山巖/著 、アレッサンドロ・ジェレヴィーニ/著 、芸術新潮編集部/著

1,540円(税込)

発売日:2009/09/25

  • 書籍

彼女の目や心に刻まれたもの、執筆に向かわせたものを探して――。

「そんなふうにして私のイタリアとの対話ははじまった」(『ミラノ 霧の風景』より)。イタリアで暮らした遠い日々、そして、めぐり合った人たちのよろこびや悲しみが綴られた、須賀敦子の滋味あふれるエッセーは、没後10年を過ぎたいまも愛され続けています。ゆかりの場所の撮りおろし写真と貴重な証言の数々で、その作品世界に迫ります。

目次
〈第1章〉坂道でたどる須賀敦子
〈第2章〉須賀さんとの会話
松山巖
異なる言語のあいだに、等しく生きたひと
アレッサンドロ・ジェレヴィーニ
コラム
遺されたものたち
須賀さんの本棚
須賀敦子のイタリア地図
本書に登場する主な場所
須賀敦子略年譜
娘時代の須賀敦子さんが通った、宝塚市・小林聖心女子学院の坂道。
撮影=広瀬達郎
コルシア書店のあった場所では、今も書店が営業中。店内のかたちも書棚の昔の配置を活かしているという。
撮影=広瀬達郎

書誌情報

読み仮名 スガアツコガアルイタミチ
シリーズ名 とんぼの本
雑誌から生まれた本 芸術新潮から生まれた本
発行形態 書籍
判型 A5判
頁数 128ページ
ISBN 978-4-10-602193-0
C-CODE 0395
ジャンル ノンフィクション
定価 1,540円

須賀さんが大のお気に入りだったというアッシジの夕景。

須賀さんが大のお気に入りだったというアッシジの夕景。
撮影=広瀬達郎
愛用のペン立て。同じものをもうひとつ持っていて、自宅と仕事場で使っていた。
撮影=広瀬達郎

担当編集者のひとこと

「イタリアがお好きなら、きっとこの本もお好きでしょう」。後輩からプレゼントされた1冊の本。須賀敦子さんの『ヴェネツィアの宿』でした。
 その端正で、しっとりと味わい深い文章に、一目惚れならぬ一読惚れしました。すぐに既刊を買い求めて読み耽り、新刊が出るのを待ちわびたものです。彼女が描く人びとの不器用で誠実な生き方に共感し、彼女が描くイタリアにあこがれました。

 本書は、没後10年を機に「芸術新潮」で特集された“須賀敦子が愛したもの”を再編集したものです。彼女が暮らし、訪れたイタリア各地を撮りおろしの写真と心を尽くした取材でご紹介します。須賀さんと親交の深かった作家・松山巖さんによるエッセーや、須賀さんの教え子でもあった作家兼翻訳家アレッサンドロ・ジェレヴィーニさんのインタビューも収録。須賀敦子さんの足跡を辿りつつ、その作品世界の深部へと近づくことのできる1冊です。

 残念ながら、私は生前の須賀敦子さんにお目にかかることはできませんでした。けれど、こうしたかたちで彼女にかかわることができ、編集者としてこの上ない喜びを感じています。

2009/09/25

著者プロフィール

須賀敦子

スガ・アツコ

(1929-1998)1929年生まれ。聖心女子大学卒業。24歳で初めてイタリアを訪れ、29歳からの13年をイタリアで過ごす。1961年、ジュゼッペ・リッカと結婚、谷崎潤一郎をはじめとする日本文学の伊訳を多数出版。6年後に夫が急逝。1971年帰国。1972~1984年慶応義塾大学外国語学校で講師を務める。1973年上智大学国際部比較文化学科非常勤講師、同部大学院現代日本文学科兼任講師(後に比較文化学部教授)。56歳でイタリア体験をもとにした文筆活動を開始。1991年『ミラノ 霧の風景』(白水社)で女流文学賞、講談社エッセイ賞を受賞。1998年心不全で他界。主な著書に『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』(ともに文藝春秋)、『トリエステの坂道』『地図のない道』(ともに新潮文庫)ほか。主な訳書にナタリア・ギンズブルグ『ある家族の会話』、アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』(ともに白水社)ほかがある。

松山巖

マツヤマ・イワオ

1945(昭和20)年東京生れ。東京芸術大学美術学部建築科卒業。作家・評論家。デビュー作『乱歩と東京』が日本推理作家協会賞を受賞、その他の作品に『うわさの遠近法』(サントリー学芸賞)『群衆』(読売文学賞)、小説『闇のなかの石』(伊藤整文学賞)などがある。2012(平成24)年建築学会文化賞受賞。

アレッサンドロ・ジェレヴィーニ

Gerevini,Alessandro Giovanni

1969年、イタリア・クレモナ生れ。よしもとばなな、松浦理英子作品のイタリア語訳を数多く手がける翻訳家、作家。ヴェネツィア大学日本語・日本文学科卒業後、東京大学大学院で学術博士号を取得。現在、早稲田大学准教授。著書に、小説『ファザーランド』、エッセイ集『食べたいほど愛しいイタリア』などがある。

芸術新潮編集部

ゲイジュツシンチョウヘンシュウブ

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