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沖縄染織王国へ

與那嶺一子/著

1,540円(税込)

発売日:2009/05/25

  • 書籍

これぞ太陽の染め、海風の織り。自然と手わざが織りなす布の美の世界へ。

鮮やかな紅型、涼やかな芭蕉布や上布、優しい風合の花織……。琉球王国の伝統がはぐくんだ名品90点と、注目の当代染織家5人が創る美しい布を一堂に収め、沖縄染織研究の第一人者である著者がそれぞれの染織品の生まれた背景や歴史、特色を丁寧に解説します。島の自然の恵みにあふれた、究極の手仕事の美を、ご堪能ください!

目次
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花々の間を鳥が飛び交う、華やかな文様の両面染めの紅型衣装。琉球王朝時代の作。沖縄県立博物館・美術館蔵。
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とんぼの羽のように薄くて軽やかな布を織り出す染織作家、上原美智子さんのストール作品。経糸は絹、緯糸はピーニアという植物繊維。

沖縄染織産地マップ

はじめに 手わざから生まれる、ホッとする美
 文・與那嶺一子

琉球の心をうつす染と織 沖縄県立博物館の名品より
 解説・與那嶺一子
紅型
首里の織物
絣織物
芭蕉布
読谷山花織
久米島紬
宮古上布
八重山の織物

次代を拓く注目の染織家たち
 文・編集部
伊差川洋子〈紅型〉
渡名喜はるみ〈紅型〉
真栄城興茂〈琉球美絣〉
上原美智子〈あけずば織〉
石垣昭子〈芭蕉交布〉

〈コラム〉 文・與那嶺一子
紅型の道具
沖縄の染織を支えた人たち
 鎌倉芳太郎、芹沢けい介、柳悦孝、田中俊雄

途絶えた染織、甦った染織
織り手の心を動かす「御絵図」
ミンサー、ティサージ〈手巾〉に織り込まれた思い

見る・買う・体験する
沖縄の染織に出会える場所ガイド

書誌情報

読み仮名 オキナワセンショクオウコクヘ
シリーズ名 とんぼの本
発行形態 書籍
判型 A5判
頁数 128ページ
ISBN 978-4-10-602187-9
C-CODE 0372
ジャンル 暮らし・健康・料理
定価 1,540円

琉球王家の尚家に伝わる芭蕉布絣着物

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琉球王家の尚家に伝わる、じつに細い糸を用いた芭蕉布絣着物。沖縄県立博物館・美術館蔵。

担当編集者のひとこと

沖縄染織王国へ

 鮮やかな紅型(びんがた)、涼やかな芭蕉布(ばしょうふ)、紺地のつややかな宮古上布(みやこじょうふ)、白地に絣で名高い八重山上布(やえやまじょうふ)、優しい風合の読谷山花織(ゆんたんざはなおり)や久米島紬(くめじまつむぎ)……。
 沖縄の島々には、その島、その土地ごとに、独自の植物を生かした、すばらしい染と織があります。アジアと交流を結び、琉球王国の歴史を背景に生まれ、育まれてきた布のバリエーションの豊かさ、美しさには、目を見張ります。しかしこれまで、この豊かな沖縄の布を一冊にきちんとみせてくれる本は、なかなかありませんでした。 本書では、沖縄県立博物館・美術館のコレクションから名品90点余を選び、また、世界に羽ばたいている現代染織家5人が創る布をもあわせて、一堂に収めました。そして、沖縄県立博物館の学芸員であり、沖縄染織研究を続けてきた著者が、それぞれの染織品の生まれた背景や歴史、特色を丁寧に解説します。
 沖縄にどうしてこんなに素敵な染織がたくさんあるんだろう。いつかは憧れの着物を着てみたい。あのふんわりと風をはらむ布をまとってみたい……。そんな方、どうかこの本を手にとってほしいです。
 たしかに、どんな着物好きで沖縄のものがほしいと思っても、着物や帯などは、私たち本土の人の手に届くまでに高価になってしまい、とても手が届かないくらいになってしまうことがままあります(流通の仕組みがありますものね……)。しかし、一枚の布には、糸にする植物を育てることから始まって、染め織り上げるまでの工程をすべて手で行なうという、作り手の計り知れない手間隙と愛情と技が詰まっているのだと思うと、多少高くても当たり前なことじゃないかと思えるのです。むしろ、私たちが積極的にそういう布を買い、使うことで、工芸にたずさわる(しかも日常の衣としての染織)作り手たちも育っていくでしょう。自然を使って生み出され、手をかけたほんとにいいものは、やっぱり次代に受け継がれていってほしいなあと、思うのです。

 どうぞ、島の自然の恵みにあふれた、究極の手仕事の美を、たっぷりご堪能ください!

2009/05/25

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著者プロフィール

與那嶺一子

ヨナミネ・イチコ

1959年沖縄県与那国町生まれ。琉球大学教育学部美術工芸科卒。専攻は染織。沖縄県立博物館の学芸員として長年勤務し、那覇新都心への新館移転に際しては一からかかわった(2007年11月沖縄県立博物館・美術館としてオープン)。2008年4月、糸満市立の中学校へ異動、教鞭をとる。2009年4月より沖縄県立博物館・美術館に復帰。著作や論文に『琉球紅型』(2005年、青幻舎)、「県立博物館所蔵の染織資料I~III」(1986・1987・2001年、沖縄県立博物館)、「沖縄の産育儀礼における子どもの衣服と背守り」(1994年、沖縄県立博物館)などがある。

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