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人を動かす 完全版

D・カーネギー/著 、東条健一/訳

1,870円(税込)

発売日:2016/11/25

  • 書籍
  • 電子書籍あり

世界的大ベストセラー、待望の新訳。
カーネギーの肉声が、いま甦る。

「相手の同意を得る方法」「相手の考えを変える方法」など人間関係の原則について記し、80年にわたり読み継がれてきた不朽の名著を、本人の熱い思いが込められた発売当初の内容にそって新訳。失われていた「前書き」など多くの原稿も復活し、カーネギーが本当に伝えたかったことが、現代的でやさしい言葉で、完全に甦ります。

目次
本書を書いた理由
第1章 人間の取扱説明書
1 蜂蜜が欲しければ、蜂の巣を蹴るな
2 人を動かす最大の秘密
3 世界を味方につける方法
第2章 人に好かれる6つの方法
1 どこでも誰にでも歓迎される方法
2 第一印象を良くするシンプルな方法
3 好意を得る単純かつ確実な方法
4 話し上手になる簡単な方法
5 人から関心を持たれる方法
6 瞬時に好かれる方法
第3章 相手を自分の考え方に同調させる12の方法
1 議論で最善の成果を得る方法
2 敵を作る確実な方法と、それを回避する方法
3 相手の敵意を最小限にし、味方に変える方法
4 自分の考えを受け入れさせる方法
5 いつの間にか相手に同意させる方法
6 自然に相手の考えを変える方法
7 協力を取り付ける方法
8 あなたの人生が驚くほどうまくいく方法
9 厄介な相手を動かす方法
10 相手を良い人間に変える方法
11 考えを効果的に伝える方法
12 人を動かす裏技
第4章 怒らせずに人を変える9つの方法
1 人の失敗を指摘する時、最初にすべきこと
2 嫌われずに批判する方法
3 批判しても相手の不快感を和らげる方法
4 命令せずに人を動かす方法
5 不利益な事柄を相手に伝える方法
6 人を成功させる方法
7 人の態度を改善する方法
8 人の潜在能力を引き出す技術
9 あなたの望みに喜んで協力させる方法
第5章 敵を味方に変える方法
1 奇跡を生む手紙
2 相手の態度を変える方法
第6章 家庭生活を幸福にする7つの原則
1 結婚の幸福を保つ方法
2 最高の家庭生活を送る方法
3 家庭生活に失敗しない方法
4 相手を幸せにする簡単な方法
5 愛を継続する方法
6 無視してはいけないたった一つのこと
7 結婚生活の最重要課題
幸福になるための10の質問
訳者あとがき

書誌情報

読み仮名 ヒトヲウゴカスカンゼンバン
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判変型
頁数 352ページ
ISBN 978-4-10-506653-6
C-CODE 0098
ジャンル 教育・自己啓発、趣味・実用
定価 1,870円
電子書籍 価格 1,650円
電子書籍 配信開始日 2016/12/02

書評

「人間関係の技術」を記した名著、30年ぶりの新訳

東条健一

 アメリカ人はプレゼンが得意だ――と言われています。
 しかし、一昔前はどうだったのでしょうか?
「人前に出るとあがってしまい、パニックで頭が真っ白になって何を言っていいかわからなくなってしまう」
「心臓がドキドキして、何も言葉が浮かばない」
 当時のビジネスマンの多くは、こう感じていたそうです。アメリカ人にとって、人前で話すことはたいへんな恐怖と苦痛でした。
 本書の著者D・カーネギーは、こういう時代に活躍し始めました。彼はニューヨークで社会人向けの講座を主催し、「話し方」を多くのビジネスマンたちに教え有名になりました(後にカーネギーは、自分の考えを人前で述べる技術を、『決定版カーネギー 話す力―自分の言葉を引き出す方法―』〈新潮社〉という著書にまとめました)。
 やがてその講座を、大手出版社サイモン&シュスターの編集者が受講。深く感銘を受けた編集者は、プレゼンの技術の次に必要なスキルとして、人とのつき合い方の本を書いてみてはどうか?とカーネギーに提案しました。
 過去に2度、サイモン&シュスターから原稿を没にされていたカーネギーは多忙を理由に執筆を断りますが、編集者は彼の講義を速記してタイプライターで原稿に起こし、下書きを作ってみせます。カーネギーは仕方なく引き受けますが、やがて、自分が書こうとしている原稿の価値に気づきました。真剣に原稿を書き始め、2年以上かけて最終稿を仕上げました。
 最初は、タイトルを『How to Get the Welcoming-In Response(友好的な反応を得る方法)』とするつもりでしたが、やがて『How to Make Friends and Influence People(友人を作り、影響力を与える方法)』にしようと思い直します。
 版元のサイモン&シュスターはそれに難色を示しました。本のデザインをするのに、一文字多いと言うのです。カーネギーはタイトルの中の「Make」という単語を、一文字少ない「Win」に変えました。すると、今度は編集者がそれを気に入りません。
 出版までに日がなかったため、誰もが確信を持てないまま『How to Win Friends and Influence People』は出版され、1936年に店頭に並びました。あっという間に増刷を重ね、アメリカ史上最も影響力のある本の一つになっただけでなく、世界で3000万部以上売れ、世界中に影響を与えました。
 その『How to Win Friends and Influence People』の最新の翻訳が、本書『人を動かす 完全版』です。
『人を動かす』というタイトルの本は、これまでも出版されてきました。しかし、残念ながら、現在流通しているのは、正確にはカーネギー自身の本ではありません。彼の死後かなり経ってから、夫人がもともとの原稿を削除したり、加筆したりして、「改訂版」として出版したものです。カーネギーの存命中には活躍していなかった、歌手スティービー・ワンダーのエピソードまで加えられました。
 私が初めて『人を動かす』を読んだのは大学生の時です。夫人による「改訂版」の翻訳でした。もちろん、感銘は受けましたが、何か言葉にならない違和感も持ちました。
 違和感の正体が分かったのは、後に、同書を原書で読んだ時のことです。当時の翻訳から得たイメージとは違い、原書で触れるカーネギーは、「まだ若さとエネルギーに溢れ、ユーモアとスマイルを欠かさない、やさしい先輩」という印象でした。翻訳では、カーネギーがステージの上から威圧的に講演しているように感じましたが、原書では、まるでカーネギーが隣に座って気楽に語ってくれているようです。私は、原書のカーネギーのほうが好きになりました。もし、自分が翻訳するなら、カーネギーが目指した、わかりやすくて親しみやすい簡潔な文章を再現するのに!
 その長年の思いが結実したのが、『人を動かす 完全版』です。カーネギー本人による完全オリジナル版を、現代的解釈と翻訳で甦らせました。
 夫人が出した「改訂版」を読んだことがある方でも、新鮮な感動と気づきが、何度読み返しても必ず見つかるはずです。
 皮肉にも、今の日本は、初版当時の大恐慌時代のアメリカの状況と似ています。人々の、何とかして収入を上げたい、成功したいという切迫したニーズに応え、多くの成功者を生み出した本書が今、復活するのも時代の必然かもしれません。
 当時も今も、成功の処方箋は同じです。人間の扱い方は、どの時代でも通用する普遍の原則なのでしょう。


(とうじょう・けんいち 作家)
波 2016年12月号より

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著者プロフィール

D・カーネギー

Carnegie,Dale

(1888-1955)アメリカ・ミズーリ州に生れる。セールスマンなどの仕事を経て、YMCAの夜間学校で「話し方」の講座を受け持つようになる。講座用テキストとして執筆された『決定版カーネギー 話す力―自分の言葉を引き出す方法―』がベストセラーに。その後に発表された『人を動かす』と『道は開ける』は、ビジネス書・自己啓発書の名著として現在も世界中で広く読み継がれている。

東条健一

トウジョウ・ケンイチ

作家。1993年大学卒業。営業職、大手報道機関の社会部記者を経て、現職。著書に『リカと3つのルール』、訳書にD・カーネギー著『決定版カーネギー 道は開ける』、『決定版カーネギー 話す力』、『人を動かす 完全版』(すべて新潮社)がある。

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