ホーム > 書籍詳細:人口蒸発 「5000万人国家」日本の衝撃―人口問題民間臨調 調査・報告書―

民間事故調で福島原発事故を追及したシンクタンクが、今度は人口問題に切り込む!

人口蒸発 「5000万人国家」日本の衝撃―人口問題民間臨調 調査・報告書―

一般財団法人 日本再建イニシアティブ/著

1,620円(税込)

本の仕様

発売日:2015/06/30

読み仮名 ジンコウジョウハツゴセンマンニンコッカニホンノショウゲキジンコウモンダイミンカンリンチョウチョウサホウコクショ
発行形態 書籍、電子書籍
判型 A5判
頁数 236ページ
ISBN 978-4-10-333732-4
C-CODE 0095
ジャンル 政治、社会学
定価 1,620円
電子書籍 価格 1,296円
電子書籍 配信開始日 2015/12/11

消滅するのは地方だけではない。人口減少は首都圏をも確実に蝕み、都心への通勤圏ですら生気を奪われた街が目立ち始めている。史上最大の危機に立ち向かい、百年後も活力ある日本を存続させるために、いま何をすべきなのか? 人口政策、国土開発、財政再建、移民問題、民活の導入などさまざまな観点から検証する。

著者プロフィール

一般財団法人 日本再建イニシアティブ イッパンザイダンホウジンニホンサイケンイニシアティブ

●日本再建イニシアティブは、福島原発事故の原因究明を最初のテーマとして、2011年9月に設立された独立系シンクタンクである。●「真実、独立、世界」をモットーに活勒しており、日本が抱える国家的課題に絞って研究、提言を行っている。報告書は英語で世界に発信し、グローバル市民とともに課題に取り組んでいくことを目指している。理事長・船橋洋一。

書評

日本史上最大の危機にどう立ち向かうか

船橋洋一

 およそありとあらゆる政策課題の中で、頭では分かっていても、行動がついていかない問題ほど厄介なものはない。
 それも、行動しない場合の結果が大方予測できるのに、決断できない事柄ほど面倒なものはない。
 なぜなら、そうした場合、行動を決断したときは時すでに遅しの状況になるし、いまさらやっても間に合わないという諦観と悲観主義が支配する可能性が強いからである。
 人口問題がまさにその典型である。
 このまま、いまの出生率(合計特殊出生率)が続けば、100年前にほぼ5千万人だった日本の人口は、今世紀末には同じ5千万人に縮小する。それも、明治時代のように若者が満ち溢れていた国ではなく、高齢化率が40%に達する、老いた5千万人国家である。
 日本政府が人口減少を政策課題としたのは、1992年の国民生活白書で少子化という言葉を用いて、問題提起したのが最初である。
 しかし、厚生省(現・厚生労働省)はその後も将来人口推計では出生率が回復するという予測を出し続けた。団塊ジュニアによる人口の下支え効果を期待してのことだった。
 この状況認識の甘さが、最初のつまずきである。
 2003年、政府は「少子化社会対策基本法」を制定し、「有史以来の未曾有の事態」(前文)である少子化に総合的に取り組む姿勢をみせたが、人口減少そのものについての取り組みはなおも及び腰にとどまった。
 この間、バブル崩壊と金融破綻による経済の悪化、雇用基盤の流動化(非正規雇用化)が、結婚し子どもを産み育てるべき若者層を直撃した。いずれは結婚することが期待された「晩婚化」は、気が付けば「非婚化」へと変質していた。
 一方、この時期でも、社会保障の主要課題は、年金、医療、介護を軸に高齢化問題が優先され、少子化問題は背景にかすんだ。政府も経済界も労働界も、若者層より高齢者の雇用・生活を優先し、有効な若者支援に全力を注がなかった。
 安倍政権は、「これまでの少子化対策の延長線上にない政策を検討する」(「経済財政運営と改革の基本方針2014について」2014年6月閣議決定)と宣言し、内閣官房に「まち・ひと・しごと」創生本部をつくり、人口問題に取り組む姿勢をみせている。それでも、2015年の統一地方選挙が終われば、「まち・ひと・しごと」創生もお役御免のような状態である。財源の裏付けのある効果的な人口政策の輪郭はなお現れていない。
 人口問題の恐ろしさは、人口問題で終わらないことである。このまま人口減少を放置し、生産性も向上しない場合、2040年以降、年平均マイナス0・1%程度の低成長に陥るとの試算もある。そうなれば、生活インフラは崩壊する。そうした「負の連鎖」がすでに始まっている。
 人口は、国民生活と国家の依って立つ基である。国力であり、国勢である。
 人口問題を、21世紀の日本の最大の国家的課題として位置づけなければならない。
 独立系シンクタンク、日本再建イニシアティブは、そうした問題意識に立って、人口問題を真っ正面から取り上げることとし、2014年4月、人口問題民間臨調を立ち上げた。豊橋技術科学大学の大西隆学長はじめ7人の有識者の方々に民間臨調委員に就任していただいた。その後、1年間、政府の政策責任者をはじめ多くの専門家の方々にヒアリングを行い、カンカンガクガクの討議を経て、報告書をまとめた。
 その成果が本書である。
 人口問題に取り組むに当たって、大変だ、大変だ、と警鐘を鳴らす前に、なぜ、日本では人口政策は失敗したのか。その原因を究明することを心掛けた。
 その上で、40以上の政策提言を行った。
 それは人口減少を食い止める「緩和」策と人口減少に合わせ、それを逆用する形の「適応」策の二正面作戦となる。
 子どもの誕生は、人間一人一人の最も奥深いプライバシーに関わる事柄である。人口問題は、政府が号令をかけて取り組むべき問題ではない。
 国民一人一人が将来の世代と日本の未来の形成にどのように貢献するのか、という夢と覚悟の領域の課題である。
 この報告書が、市民一人一人のそのようなビジョンと参画への一助になれば幸いである。

(ふなばし・よういち 一般財団法人 日本再建イニシアティブ理事長))
波 2015年7月号より

目次

はじめに
もはや先送りは許されない
人口減少が引き起こす4つの「負の連鎖」
人口問題がもたらす価値観の葛藤
本書の構成について
第1章 首都圏ショック
「10年後はここも限界団地になる」
縮む首都圏
「空き家」「限界マンション」「買い物難民」……
崩壊するコミュニティ
首都圏で後期高齢者70%以上増
23区内でも進む「限界化」
世界初の縮退するメガシティとなる「大阪圏」
リニアと女性の職場不足がネックとなる「名古屋圏」
域内の人口を吸収する札幌と福岡
第2章 地方の生活インフラの崩壊
拡大する「無居住地区」
人口減少の現実
「生活インフラ」を維持する最小限の人口とは
生活インフラが消えていく……
IT活用で活路も
「単身高齢化」、そして「孤立化」
第3章 人口動態とマクロ経済・財政
本当に重要なのは「一人当たり実質成長率」
「アベノミクス」の幻想
財政危機に拍車をかける社会保障給付費の激増
重要になる新興国市場への対応
問題は低い労働生産性だが……
注視すべき国民貯蓄の動向
国債暴落は起こるのか?
第4章 人口政策
「過剰」と「過小」の間で揺れ動いた日本の人口政策
子育ては「社会の責任」か「個人の問題」か
後手に回ってきた人口政策
子育て支援のお寒い実態
いまだに対応方針が定まらない「外国人労働者」問題
「鎖国」か「開国」か
第5章 国土(地方・行政)政策
1980年代後半以降顕著となった「東京一極集中」
田中角栄の危機感
無秩序に広がっていった大都市圏の市街地
マンションの「スラム化」も現実に
補助金が助長した地方の無秩序な郊外開発
思うような効果が得られなかった「地方分権改革」
東京一極集中のリスクをどう解消するのか?
第6章 人口問題とシルバー民主主義
“too little, too late”
「推進勢力」の不在が招いた人口問題の先送り
目立った「抵抗勢力」もなかったが
強力な政策起業家の不在
古川元官房副長官の悔やみ
なぜ政策起業家が生まれなかったのか?
「シルバー民主主義」は世代間対立を生み出すのか?
「多数者の専制」を防ぐために重要な「中間集団」
「将来世代との協同事業」の必要性
「第三次ベビーブーム」への期待がアダに
まとめ
第7章 人口増加策と財政
社会保障費削減に向けた「3つの発想」
少子化対策「9つのシナリオ」
ヨーロッパ諸国に比べて家族関係支出が少ない日本
求められる高齢者中心から全世代型の社会保障への転換
出生率回復の鍵を握る「4つの挑戦」
ポイントは日本人労働者への補償
国際化を成長に繋げるために
第8章 人口・国土の最適再配置・エリアマネジメント・危機管理
「コンパクトシティ」実現に求められる長期的視座
「広域連携」と「地方政治改革」の必要性
人口密度の最低ラインを考える
「人口ダム」としての中規模都市
求められる地域コミュニティの再生
「最悪のシナリオ」を想定した対策が必要なのだが……
第9章 地域の人口減少にビジネスで対抗する
「やりがい」と「安定した収入」を得られる「魅力ある仕事」
人口減少問題に民間の力を活用せよ
政策提言
あとがき
有識者委員会メンバー
ワーキンググループメンバー
ヒアリングに応じてくださった方々

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