ホーム > 書籍詳細:絶望名人カフカの人生論

絶望名人カフカの人生論

フランツ・カフカ/著 、頭木弘樹/編訳

649円(税込)

発売日:2014/10/29

  • 文庫

ネガティブな言葉ばかりですが、思わず笑ってしまったり。巨人カフカの元気がでる名言集。

「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」これは20世紀最大の文豪、カフカの言葉。日記やノート、手紙にはこんな自虐や愚痴が満載。彼のネガティブな、本音の言葉を集めたのがこの本です。悲惨な言葉ばかりですが、思わず笑ってしまったり、逆に勇気付けられたり、なぜか元気をもらえます。誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはいた、巨人カフカの元気がでる名言集。

  • テレビ化
    カフカの東京絶望日記(2019年4月配信)
目次
はじめに カフカの肖像――いかに絶望し、いかに生きたか
第一章 将来に絶望した!
1 倒れたままでいること
2 あらゆる困難がぼくを打ち砕(くだ)く
3 あらゆることが怖くなる
4 頑張りたくても頑張ることがない
5 他の人はやすやすとやってのけることを、自分はできない
6 目標に到達する難しさ
7 手にした勝利を活用できない
8 人生のわき道にそれていく
第二章 世の中に絶望した!
9 ひとりでいれば何事も起こらない
10 地下室のいちばん奥の部屋で暮らしたい
11 孤独さが足りない、さびしさが足りない
12 ここより他の場所
第三章 自分の身体に絶望した!
13 ぼくの知っている最も痩(や)せた男
14 こんな身体(からだ)では何ひとつ成功しない
15 父親のたくましさと、自分のひ弱さ
16 この身体で生きることの心細さ
17 心配がふくれあがって本当の病気に
18 気苦労が多すぎて、背中が曲がった
19 散歩をしただけで、疲れて三日間何もできない
第四章 自分の心の弱さに絶望した!
20 強さはなく、弱さはある
21 やる気がすぐに失(う)せてしまう
22 重いのは責任ではなく、自分自身
23 死なないために生きるむなしさ
24 過去のつらい経験を決して忘れない
25 自分を信じて、磨(みが)かない
第五章 親に絶望した!
26 父親の前に出ると自信が失われる
27 罪はないのに罰はやってくる
28 巨人としての父親
29 まったく噛(か)み合わない価値観
30 親からの、見当違いな励(はげ)まし
31 「おまえのやることは必ず失敗する」と脅(おど)かす親
32 自立を願いながら、子供を支配し続ける矛盾した親
33 親の影響力の大きさ
34 やさしい母親は、おそろしい父親の手下にすぎない
35 親からの反論
第六章 学校に絶望した!
36 学校では劣等生と決めつけられた
37 母親にとって「ひとつの悲しい謎(なぞ)となった」
38 教育は害毒だった
39 何度成功しても自信は湧(わ)かず、ますます不安が高まる
第七章 仕事に絶望した!
40 生活のための仕事が、夢の実現の邪魔をする
41 会社の廊下で、毎朝絶望に襲われる
42 仕事に力を奪(うば)われる
43 仕事をなまけているのではなく、怖(おそ)れている
44 出張のせいで、だいなしに
45 社会的地位にはまったく関心なし
第八章 夢に絶望した!
46 なぜ好きな仕事で身を立てようとしないのか?
47 自分のやりたいことでは、お金にはならない
48 書けば失敗、書かなければ箒(ほうき)で掃き出されて当然
49 いろいろなことが、夢の実現を邪魔する
50 書くどころか、ものを言うこともできない
51 途方にくれて、たえず同じことを
52 悪作の証明
53 夢がすべてだが、その夢もあてにならない
第九章 結婚に絶望した!
54 結婚することにも、しないことにも絶望
55 愛せても、暮らせない
56 「普通」にあこがれる
57 ふりまわされる女性
58 三度目の正直も起きず
59 結婚しなかった理由
60 結婚こそが現実入門
61 女性に近づくだけで無数の傷が
第十章  子供を作ることに絶望した!
62 子供を持ちたいが、持てない
63 父親になるという冒険
64 自分の血を遺(のこ)していいのか?
65 自分に似た子供への嫌悪
第十一章 人づきあいに絶望した!
66 人とつきあうことの圧迫感
67 人といると、自分の存在が消えていく
68 二人でいるほうが、もっと孤独
69 友人との関わりに希望はない
第十二章 真実に絶望した!
70 真実の道には、人をつまずかせる綱(つな)が
71 嫌がっても迫ってくる、受け入れがたい真実
72 目の前の現実はすべて幻影
第十三章 食べることに絶望した!
73 極端な食事制限
74 カフカの食卓
75 むさぼり食いたい衝動
76 食べたいけど、食べられるものがない
第十四章 不眠に絶望した!
77 眠れないし、眠りの質が悪い
78 不眠の夜のラッパ
79 永遠の不眠
80 不眠と頭痛で白髪(しらが)になった
81 なぜ眠れないのか?
第十五章 病気に絶望……していない!
82 ついに本当に病気になる
83 病気は武器
84 骨折という美しい体験
85 心の苦しみが病気の原因
86 結核=母親のスカート
あとがき 誰よりも弱い人
文庫版編訳者あとがき
解説 山田太一

書誌情報

読み仮名 ゼツボウメイジンカフカノジンセイロン
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 272ページ
ISBN 978-4-10-207105-2
C-CODE 0198
整理番号 カ-1-11
ジャンル エッセー・随筆、哲学・思想
定価 649円

どういう本?

一行に出会う

いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。(本書34ぺージ)

著者プロフィール

(1883-1924)オーストリア=ハンガリー帝国領当時のプラハで、ユダヤ人の商家に生る。プラハ大学で法学を修めた後、肺結核で夭折するまで実直に勤めた労働災害保険協会での日々は、官僚機構の冷酷奇怪な幻像を生む土壌となる。生前発表された『変身』、死後注目を集めることになる『審判』『城』等、人間存在の不条理を主題とするシュルレアリスム風の作品群を残している。現代実存主義文学の先駆者。

頭木弘樹

カシラギ・ヒロキ

筑波大学卒業。カフカの翻訳と評論などを行っている。編訳書に、『「逮捕+終り」―『訴訟』より』(カフカ)、『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』(ゲーテ、カフカ)がある。

「絶望名人カフカ」頭木ブログ (外部リンク)

この本へのご意見・ご感想をお待ちしております。

感想を送る

新刊お知らせメール

フランツ・カフカ
登録
頭木弘樹
登録
エッセー・随筆
登録
哲学・思想
登録

書籍の分類