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「死の棘」日記

島尾敏雄/著

924円(税込)

発売日:2008/07/29

  • 文庫

愛情の無間地獄に堕ちていく。夫の不実を知ったことから精神を病んだ妻。妻の責め苦に、身も心も追いつめられた夫の記録。

思いやり深い妻が夫の不実の証拠を眼にし、狂気に苛まれ豹変する――。夫婦の絆の行き着く果てを描き、昭和52年の刊行以来読み継がれる小説『死の棘』。本書は、その背景をつぶさに記録した日記である。不安に憑かれ、夜を徹して責める妻、心身共にぎりぎりまで追いつめられ、心中の相談をもちかける夫……。小説よりも凄まじい夫婦の軌跡を記し、深い感動を呼ぶ日記文学の傑作。

目次
「『死の棘』日記」刊行に寄せて 島尾ミホ
昭和二十九年九月
島尾敏雄、ミホ、伸三、マヤの一家は、昭和二十七年三月、神戸より東京都江戸川区小岩町四の一八一九に転居。敏雄は、都立向丘高等学校定時制の非常勤講師として、世界史と一般社会を担当。(翌年三月、退職)当時、伸三は六歳。マヤ、四歳。
十月
二十四日、ミホ、三十五歳の誕生日。
十一月
十二月
昭和三十年一月
十日、一家で敏雄の故郷である福島県相馬郡小高町へ行く。(二十日、帰京)/三十一日、ミホ、慶応病院神経科に入院。(三月三日、退院)
二月
三月
七日、ミホ、慶応病院に再入院。(三十日、退院)/九日、敏雄、伸三とマヤを連れて小高町へ。(十三日、帰京)
四月
七日、一家で千葉県佐倉市並木町八五に移る。/十七日、“事件”起こる。/十八日、敏雄、三十八歳の誕生日。
五月
三日、東京都豊島区池袋七の二○七一、林和子(ミホの従妹)方に移る。
六月
六日、ミホ、千葉県市川市の国立国府台病院精神科に入院。敏雄も連れ添う。/十九日、伸三とマヤ、林和子と共にミホの故郷である奄美大島へ。/二十七日、ミホ、持続睡眠治療に入る。(七月十日、投薬中止)
七月
八月
九月
六日、ミホ、冬眠治療に入る。(十月六日まで)
十月
十一月
十二月
三日、名瀬、大火に見舞われる。/十八日、敏雄の新刊「われ深きふちより」が河出書房より届く。
解説 加藤陽子

書誌情報

読み仮名 シノトゲニッキ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 562ページ
ISBN 978-4-10-116405-2
C-CODE 0195
整理番号 し-11-5
ジャンル ノンフィクション
定価 924円

著者プロフィール

島尾敏雄

シマオ・トシオ

(1917-1986)横浜生れ。九大卒。1944(昭和19)年、第18震洋隊(特攻隊)の指揮官として奄美群島加計呂麻島に赴く。1945年8月13日に発動命令が下るが、発進命令がないままに15日の敗戦を迎える。1948年、『単独旅行者』を刊行し、新進作家として注目を集める。以後、私小説的方法によりながらも日本的リアリズムを超えた独自の作風を示す多くの名作を発表。代表作に『死の棘』(日本文学大賞・読売文学賞・芸術選奨)、『魚雷艇学生』(野間文芸賞・川端康成文学賞)など。

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