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檸檬

梶井基次郎/著

473円(税込)

発売日:1967/12/12

  • 文庫
  • 電子書籍あり

こんな世の中、こんな自分、みんな爆破してしまいたい。

31歳という若さで夭折した著者の残した作品は、昭和文学史上の奇蹟として、声価いよいよ高い。その異常な美しさに魅惑され、買い求めた一顆のレモンを洋書店の書棚に残して立ち去る『檸檬』、人間の苦悩を見つめて凄絶な『冬の日』、生きものの不思議を象徴化する『愛撫』ほか『城のある町にて』『闇の絵巻』など、特異な感覚と内面凝視で青春の不安、焦燥を浄化する作品20編を収録。

書誌情報

読み仮名 レモン
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
頁数 352ページ
ISBN 978-4-10-109601-8
C-CODE 0193
整理番号 か-2-1
ジャンル 文芸作品
定価 473円
電子書籍 価格 473円
電子書籍 配信開始日 2013/06/01

どういう本?

タイトロジー(タイトルを読む)

 私は何度も何度もその果実を鼻に持って行っては嗅いでみた。それの産地だというカリフォルニヤが想像に上って来る。漢文で習った「売柑者之言」の中に書いてあった「鼻を撲つ」という言葉が断れぎれに浮んで来る。そしてふかぶかと胸一杯に匂やかな空気を吸込めば、ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかった私の身体や顔には温い血のほとぼりが昇って来て何だか身内に元気が目覚めて来たのだった。……
 実際あんな単純な冷覚や触覚や嗅覚や視覚が、ずっと昔からこればかり探していたのだと云いたくなった程私にしっくりしたなんて私は不思議に思えるーーそれがあの頃のことなんだから。(本書13ぺージ)

著者プロフィール

梶井基次郎

カジイ・モトジロウ

(1901-1932)大阪生れ。少年時代は三重、東京などに転居を繰り返す。1919年、エンジニアを目指して三高理科に入学するが次第に文学に惹かれ、1924年、東京帝大英文科に入学。同人誌「青空」で積極的に活動するが、少年時代からの肺結核が悪化し卒業は叶わなかった。療養のため訪れた伊豆の湯ケ島温泉で川端康成、広津和郎に親近し創作を続けた。しかし病は次第に重くなり、初めての創作集『檸檬』刊行の翌年、郷里大阪にて逝去。享年31。

判型違い

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