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侏儒の言葉・西方の人

芥川龍之介/著

506円(税込)

発売日:1968/11/19

  • 文庫

剥き出しの狂気。鬼才・芥川の遺稿となった表題作を含む四編を収録。

眠りは死よりも愉快である。少くとも容易には違いあるまい――。鋭敏な頭脳と表現力を無尽に駆使し、世に溢れる偽善や欺瞞を嘲る。死に取り憑かれた鬼才の懐疑的な顔つきと厭世的な精神を鮮烈に伝えるアフォリズム(「侏儒の言葉」)。自らの人生を聖者キリストに重ね、感情を移入して自己の悲しさ、あるいは苦痛を訴える(「西方の人」)。自殺の直前に執筆された芥川文学の総決算。

目次
侏儒の言葉
侏儒の言葉(遺稿)
西方の人
続西方の人
注解 神田由美子
解説 海老井英次

書誌情報

読み仮名 シュジュノコトバサイホウノヒト
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 272ページ
ISBN 978-4-10-102507-0
C-CODE 0195
整理番号 あ-1-7
ジャンル エッセー・随筆
定価 506円

どういう本?

タイトロジー(タイトルを読む)

*侏儒 ①こびと。②見識のない人の蔑称。③昔中国でこびとを俳優にしたことから俳優、役者をさす。ここでは自嘲的に主に②の意味で用い、筆者の様々な思想の変化を示すという内容から、③の意味合も含ませている。(本書注解187ページ)

*西方の人 イエス・キリストのこと。「西方」という言葉は、地理的・文化的な「西洋」に対し、思想的・宗教的な意味をこめて使われている。「西方」は〈さいほう〉〈せいほう〉の二つの読みが現在行なわれている。(本書注解221ページ)

著者プロフィール

芥川龍之介

アクタガワ・リュウノスケ

(1892-1927)東京生れ。東京帝大英文科卒。在学中から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石の激賞を受ける。その後今昔物語などから材を取った王朝もの「羅生門」「芋粥」「藪の中」、中国の説話によった童話「杜子春」などを次々と発表、大正文壇の寵児となる。西欧の短編小説の手法・様式を完全に身に付け、東西の文献資料に材を仰ぎながら、自身の主題を見事に小説化した傑作を多数発表。1925(大正14)年頃より体調がすぐれず、「唯ぼんやりした不安」のなか、薬物自殺。「歯車」「或阿呆の一生」などの遺稿が遺された。

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