作品紹介

この作品の主な舞台は一九一九年から一九四〇年のブリストル、父親を早くに失い、港をうろついていた不登校児童が、思いがけない才能を見出されて上の学校へ進み、周囲の人々の善意に助けられながら、あるいは悪意に翻弄されながら、成長していくという物語です。ただし、そこはアーチャーですから一筋縄であるはずもなく、人間の持つ誠実さ、潔さ、あるいは、賤しさ、醜悪さを、持ち前のユーモア、ウィット、皮肉をちりばめながら余すところなく描き出し、しかも思いがけない結末を準備して、正統派でありながら、波乱の物語に作り上げています。

登場人物
クリフトン家(労働者階級)
バリトン家(貴族階級)
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推薦/書評
推薦の言葉

「時がつなぐ、人と人との運命。壮大な因果……。
小説とは、こんなにも面白いものだったのかと、
あらためて思い出させてくれる作品だ」
――作家・幸田真音

「この本を手に取ったら確実に寝不足になる」
――衆議院議員・河野太郎

「いくつもの人生が絡み合う大河のうねりは激しく、先の読めない展開に振り回されて楽しんだ。そして下巻のラスト1行が危険だ。今すぐに第2部を読みたくなる」
――文芸評論家・古山裕樹

「二家族の数奇な歴史を鮮やかにつむぎ出す物語のロンド。アーチャーのサーガが帰ってきた!」
――コラムニスト・香山二三郎

「簡潔な語り口、場面展開のはやさで読者の興味を引きつけるテクニックはさすがというしかなく、ページをめくりながら何度もこれぞアーチャーの真骨頂、と思った」
――ライター・瀧井朝世

「畢生の大作として、天才ストーリーテラーの新たな代表作となるのは、間違いないところだろう」
――ミステリ・コラムニスト 三橋 曉

海外書評

イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、インド、南アで、第1位ベストセラー。
19ヶ国語に翻訳され、2部と合わせて120万部以上の売り上げ。

「完全にこの本にはまってしまった。非常に楽しい読み物だ」
――デイリー・テレグラフ紙

「物語を語る才能は抜きん出ている。アーチャーはまずなによりも鬼才のストーリーテラーだ」
――タイムズ紙

「最後のページまでサスペンスが持続する。なんともすごいエンディングだ」
――ワシントン・ポスト紙

「ハラハラさせられるページターナー。思わぬ展開と、驚きのエンディング」
――プブリシャーズ・ウィークリー誌

「始まりは、ごく普通の成長小説と思われたが、最後には権力、裏切り、憎悪が絡んだ壮大なサーガに仕上がっている」
――ブックリスト誌

「満載の手に汗を握る場面が、魅力的で複雑に入り組んだプロットを強力に推し進める」
――ライブラリー・ジャーナル誌

あとがき

 ジェフリー・アーチャーは一九四〇年生まれ、ウェリントン・スクールを経てオックスフォード大学へ進みました。在学中はビートルズを呼んでチャリティ・コンサートを開いたり、短距離走の選手として大学記録を打ち立てたりと活躍したようです。一九六九年には最年少議員として下院入りを果たし、大いに将来を嘱望されたのですが、詐欺にあって全財産を失ったあげく、議員も辞職することになりました。その詐欺事件によって生じた債務を返済するために小説家に転進すると決意して書き上げた『百万ドルをとり返せ!』がミリオン・セラーになり、映画化もされて、債務を完済してもお釣りがきたということです。その後は小説家としても順風満帆で、政界復帰も果たしたのですが、一九八七年にコールガール・スキャンダルをすっぱ抜かれ、そのタブロイド新聞を訴えて勝訴したと思うと、十二年後にはロンドン市長に立候補しながら、前記裁判の偽証罪で四年の実刑判決を言い渡されています。しかし、転んでもただでは起きないのがアーチャーで、仮出所を果たしたところで獄中記を出版、さらに、そのときの体験を基にした創作短編集『プリズン・ストーリーズ』をもものしています。
 ちなみに、『百万ドルをとり返せ!』につづく第二作、『大統領に知らせますか?』の成功のあと、アーチャーは毎朝鏡に向かって、「ジェフリー、きみは三作目が勝負だぞ。そしてどのみちスコット・フィッツジェラルドのようにはなれっこないだろう。彼は作家だったが、きみはストーリー・テラーに過ぎない」と自戒の言葉をつぶやくのが常だったそうですが、彼がいかに偉大なストーリー・テラーであるかは(よしんば作家でないとしても)、その後の作品群を見れば疑いの余地はないでしょう。

ご購入
  • 時のみぞ知る(上)
  • 時のみぞ知る(上)クリフトン年代記〈第1部〉

    1920年代、イギリスの港町ブリストルに住む少年ハリーはサッカー選手か世界を旅する船乗りを夢見ていた。しかし、意外な才能に恵まれ、進学校へ進んだ彼は、労働者階級であるがゆえに富裕層の御曹司たちから再三イジメを受ける。貴族階級出身のジャイルズという親友を得るが……。

    ISBN:978-4-10-216133-3 定価704円(税込)購入する

  • 時のみぞ知る(下)
  • 時のみぞ知る(下)クリフトン年代記〈第1部〉

    波乱の学校生活のなか、ハリーは次々に予想外の真実と向き合うことになる。英雄として戦死したと教わった父の本当の姿。母メイジーの暗い過去。師と崇める謎の男ジャック・ターが背負う傷。伯父スタンの許し難い行い……。少年が大人への扉を開けてゆくなか、ついに直面することになる最大の衝撃とは?

    ISBN:978-4-10-216134-0 定価662円(税込)購入する

  • 死もまた我等なり〔上〕
  • 死もまた我等なり〔上〕―クリフトン年代記 第2部―

    アメリカ上陸と同時にハリーを待ち受けていたのは、突然の逮捕劇と不条理な刑務所暮らしだった! 一方イギリスでは、皆がハリーの死の報せに打ちひしがれるなか、エマだけが愛する彼の生存を信じ続ける。真相を探るため、単身米国に乗り込むエマ。重大な真実を秘めたある本に出会い……。二つの家族の運命が大西洋を越えて揺さぶられる、大波乱の「クリフトン」シリーズ第2部。

    ISBN:978-4-10-216135-7 定価662円(税込)購入する
  • 死もまた我等なり〔下〕
  • 死もまた我等なり〔下〕―クリフトン年代記 第2部―

    時代は第二次世界大戦に突入。金策に苦しむヒューゴーは過ちを重ね、ハリーの母メイジーとの取引を目論む。そのころ、エマが必死に行方を追うハリーは、予想だにせぬ場所で生死を賭けた試練を迎えていた──。「生きて再会したい」エマの願いは届くのか? やがて彼らは、英国中を巻き込む大論争の的となっていく。名誉や金への野心渦巻き、変化する人間模様。圧巻のシリーズ続編登場。

    ISBN:978-4-10-216136-4 定価662円(税込)購入する

  • 裁きの鐘は〔上〕―クリフトン年代記 第3部―
  • 裁きの鐘は〔上〕―クリフトン年代記 第3部―

    バリントン家の正統な後継者はハリーかジャイルズか、国中を巻き込んだ大論争がようやく決着。それぞれが新しい生活を手にした矢先、突然の病魔が大切な命を奪い、また新たな難題が持ち上がる。喪失の哀しみのなかで、ハリーとエマが敵対した次なる相手はなんと、ジャイルズだった――。裏切られた友情と兄妹愛は取り返せるのか? 予想外が連鎖する「クリフトン」シリーズ第3部。

    ISBN:978-4-10-216137-1 定価746円(税込)購入する
  • 裁きの鐘は〔下〕―クリフトン年代記 第3部―
  • 裁きの鐘は〔下〕―クリフトン年代記 第3部―

    ハリーとエマを恨む者たちはバリントン海運の凋落と総選挙に挑むジャイルズの敗北を企図する。一方、校則やぶりの常習犯であったセバスティアンは志望校への推薦を得るべく改心したかに見えたが、知らぬうちに国際的犯罪の渦中の人となってしまった。息子を救いたい一心で、政府の要請のもと、ハリーは遠くブエノスアイレスを目指すが……秘められた真実が、新たな悲劇を招く!

    ISBN:978-4-10-216138-8 定価662円(税込)購入する
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