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古川真人「四時過ぎの船」(160枚)
古井由吉+又吉直樹「暗闇の中の手さぐり」

新潮 2017年6月号

(毎月7日発行)

947円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2017/05/06

発売日 2017/05/06
JANコード 4910049010679
定価 947円(税込)

【新潮新人賞受賞第一作】

四時過ぎの船[一六〇枚]/古川真人

 おれはこれからどうなるんやろう――青年は全盲の兄を支えながら、自身の生に迷う。認知症の祖母が青年に伝えた最期の願いとは?

◆こことよそ/保坂和志

 旧友の追悼会で、小説家はなぜ幸福感に包まれたのか? サチモスを聴く。生と死を思う。

◆世界大角力共和国杯/星野智幸

 角界の革命から二十年、ぼくは《おかみさん》になった。困難な時代の希望を示す相撲小説!

◆水田マリのわだかまり[一五〇枚]/宮崎誉子

 元女子高生、現洗剤工場パートのマリ。世間も現場も笑えるほど過酷な日々を生きてゆく。

■■ 連載小説 ■■

■格闘(四)/高樹のぶ子

■野の春(九)/宮本 輝

■ミライミライ(十三)/古川日出男

■TIMELESS(十四)/朝吹真理子

■ペインレス(二十二)/天童荒太

■荒れ野にて(二十五)/重松 清

【第43回〈第二期第十八回〉】川端康成文学賞発表

◆文字渦/円城 塔

【選評】荒川洋治/角田光代/辻原 登/堀江敏幸/村田喜代子

□□ 特別対談 □□

暗闇の中の手さぐり/古井由吉+又吉直樹

 デビュー作「火花」から第二作「劇場」へ。文学に新風を起こした書き手が、小説へと導いた巨匠と再会する。話題の対話全文収録。

◆数がつくった言語/森田真生

 デカルトの呪縛、カントの理性批判を越え、数学者フレーゲが挑んだ未完の「言語」革命。

◆誤配は続く
――東浩紀『観光客の哲学』を読む/大澤真幸

■小林秀雄[第四十四回]/大澤信亮

■地上に星座をつくる/石川直樹
第五十二回・刹那の輝き

■見えない音、聴こえない絵[第一五二回]/大竹伸朗

■新潮
・立原道造のヒアシンスハウス/青木 淳
・二五時間目の暗箱(リアル)/上野俊哉
・詩の法外――音楽、法律、料理/John Gastro
・中動態とは何か?/國分功一郎
・「役に立つ」人文書をつくる/読書猿

■本
・千葉雅也『勉強の哲学 来たるべきバカのために』/海猫沢めろん
・限界研・編『東日本大震災後文学論』/木村朗子
・西村賢太『芝公園六角堂跡』/越川芳明
・米本浩二『評伝 石牟礼道子――渚に立つひと』/平松洋子
・池澤夏樹『キトラ・ボックス』/山本貴光

第50回《新潮新人賞》応募規定

【選考委員】 ●大澤信亮 ●川上未映子 ●鴻巣友季子 ●田中慎弥 ●中村文則

第30回《三島由紀夫賞》候補作品発表

この号の誌面

立ち読み

編集長から

暗闇の中の手さぐり

◎今だからこそ書き得る小説の豊かな広がりを感じさせてくれる号となった。思考や感情のリアルな生成がそのまま言葉に結晶したような保坂和志「こことよそ」。刻一刻と強まる時代の閉塞感に鮮烈な引き落としを仕掛ける星野智幸「世界大角力ずもう共和国杯」。現代日本の縮図のような大工場を女性視点で描きつつ、人の根源にある労働の喜びも見落とさない宮崎誉子「水田マリのわだかまり」◎古井由吉氏と又吉直樹氏の対談「暗闇の中の手さぐり」では、それぞれ最新作と格闘する二人が、永遠に続く創作の「手さぐり」を語り合った。古井氏が発した「文学が栄えて天才が輩出した時代って、たいがいよくない時代なんですよ。追い詰められているんですね」という言葉は警告であると同時に励ましでもある◎昨年、新潮新人賞でデビューした古川真人の受賞第一作「四時過ぎの船」(一六〇枚)を掲載。前作と同じ九州の島を舞台としながら、新鋭らしい「手さぐり」で前進したのではないか。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞