女による女のためのR-18文学賞

新潮社

第7回受賞作品
受賞の言葉

王冠ロゴ 読者賞受賞

山内マリコ

「16歳はセックスの齢」

山内マリコ(やまうち・まりこ)

1980年11月20日生れ。富山県出身。大阪芸術大学映像学科卒。 京都での店員生活、ライター生活を経て、愛猫を連れて東京へ漂着。

受賞の言葉

 どうしてだかずっと乗りたいなぁと思い込んでいたバスがあって、重い腰を上げて駆け出したまではいいものの、バスは速いわ、わたしの足は遅いわでなかなか乗れずすっかり諦めムード。それでもしつこく走っていると、ある日走行中のバスの窓が開き、編集者の方々がひょこっと顔を出してこよりのようなロープを投げてくださり(ありがとうございます!)、さらに読んでくれた女の子たちのクリックによってこよりがゴツめの綱となり(ありがとうございます!)、選考委員の御三方がぐるぐるぐる~っと綱を一気に巻き取ってくださって(ありがとうございます!)、どうにかこうにか乗車することができました。
 喜んでいたのも束の間、へなちょこ運転手がハンドルをとったことでバスは即エンスト。今はギアがどのへんにあるのかもわからず、あちこち手探りでいじっている状態です。
 無謀にもバスを追いかけまわすわたしを、快くバックアップしてくれた家族と友だちに、感謝感謝と頭を深く下げまくったせいか、最近ちょっと腰痛気味です。読者のみなさん、編集者のみなさん、そして選考委員のみなさんのチアーに応えたいという気持ちが不思議なエネルギーとなって、どうやらバスは少しずつ、ミリ単位で進んでいる模様。運転席に着き、メーターパネルを見て気がつきました。このバスはハイブリッドカーだったのです。