文学賞

梯久美子『狂うひと』講談社ノンフィクション賞受賞!

 2017年7月20日、梯久美子狂うひと―「死の棘」の妻・島尾ミホ―』が第39回講談社ノンフィクション賞を受賞したことが発表されました。
 島尾敏雄が、自ら夫妻の凄まじい関係を描いた名作『死の棘』。そこで隠されていた真実や、二人の関係の原点である奄美での出会いなど、作品の背景に綿密な取材と資料渉猟で迫った力作評伝は既に高い評価を得ており、梯さんは同書で第68回読売文学賞(評論・伝記賞)、第67回芸術選奨・文部科学大臣賞(評論等部門)を受賞しています。今回の受賞は「3冠」目ということになります。
 梯さんといえば、自ら脚本監修を務め『狂うひと』が参考文献にもなっている映画「海辺の生と死」が、7月29日(土)より全国で順次公開されます。この作品は、正に太平洋戦争末期の奄美で男女が運命的に出会うという物語。「ミホ」にあたる主人公を満島ひかりが演じることでも話題です。

映画「海辺の生と死」

配給 フルモテルモ、スターサンズ
公開予定 2017年7月29日(土)
脚本・監督 越川道夫
脚本監修 梯久美子
出演 満島ひかり、永山絢斗、川瀬陽太、井之脇海、津嘉山正種 ほか
関連サイト http://www.umibenoseitoshi.net/

著者紹介

梯久美子カケハシ・クミコ

1961(昭和36)年熊本県生れ。北海道大学文学部卒業。編集者を経て文筆業に。『散るぞ悲しき』で2006(平成18)年に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞、同書は米・英・仏・伊など世界8カ国で翻訳出版されている。2016年に刊行された『狂うひと「死の棘」の妻・島尾ミホ』は翌年、読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞の3賞を受賞した。他の著書に『世紀のラブレター』『昭和二十年夏、僕は兵士だった』『昭和の遺書――55人の魂の記録』『百年の手紙――日本人が遺したことば』『廃線紀行――もうひとつの鉄道旅』『愛の顛末――純愛とスキャンダルの文学史』『原民喜――死と愛と孤独の肖像』など多数。

書籍紹介