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今月号の表紙は塩野七生さん。

波 2018年1月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2017/12/27

発売日 2017/12/27
JANコード 4910068230188
定価 102円(税込)


阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第4回

[塩野七生『ギリシア人の物語Ⅲ 新しき力』刊行記念特集]
[インタビュー]
塩野七生/私は二千五百年を生きた 前編

冨澤 暉/騎兵と歩兵、そして政治と人間

[佐藤賢一『遺訓』刊行記念 いま蘇る西郷隆盛]
末國善己/現代社会に風穴をあける西郷隆盛の“遺訓”

島津義秀/「遺訓」は今も生きている

先崎彰容『未完の西郷隆盛―日本人はなぜ論じ続けるのか―』(新潮選書)
筒井清忠/西郷隆盛の「逆説」

[村山由佳『嘘 Love Lies』刊行記念インタビュー]
村山由佳/こぼれた石ころを拾い集めるように書き続けてきました(完全版)

森内俊雄『道の向こうの道』
荒川洋治/若き日の道へ

加納朋子『カーテンコール!』
大矢博子/あなたを救い、励ます、一条の光

阿刀田 高『漱石を知っていますか』
ペリー荻野/オチはなくてもいいんです。

[椎名 誠『犬から聞いた話をしよう』&中村征夫『極夜』刊行記念特集]
[対談]
椎名 誠×中村征夫/写真はタイムカプセル

北上次郎/犬を見ると思いだす

[古川勝久『北朝鮮 核の資金源―「国連捜査」秘録―』刊行記念特集]
長野智子/北朝鮮制裁の「抜け穴」を暴く衝撃の告発

[インタビュー]
古川勝久/北朝鮮は決して孤立などしていない

鶴見 済『0円で生きる―小さくても豊かな経済の作り方―』
鶴見 済/不適応者でも生きやすい領域を作る

森山 徹『モノに心はあるのか―動物行動学から考える「世界の仕組み」―』(新潮選書)
高橋秀実/人生いろいろ、モノもいろいろ

[特別企画]
和田尚久 峰岸 達・画/1978年のツービート

[短期集中連載]
南陀楼綾繁/ナミ戦記――あるリトルマガジンの50年史 2000~17 最終回

ゴールズワージー、法村里絵/訳『林檎の樹』(新潮文庫)
池澤春菜/100億のミーガンに

新潮文庫 中高生のためのワタシの一行大賞受賞作品発表

【コラム】
平井憲太郎、本多正一、落合教幸、浜田雄介、近藤ようこ『怪人 江戸川乱歩のコレクション』(とんぼの本)
平井憲太郎/乱歩の思いが詰まった部屋

とんぼの本編集室だより

ホーキング青山『考える障害者』(新潮新書)
ホーキング青山/バリアフリー化は進んだけれど

【連載】
末盛千枝子/根っこと翼・皇后美智子さまに見る喜びの源 新連載
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 新連載
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第22回
津村記久子/やりなおし世界文学 第44回
野村 進/多幸感のくに 第14回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第94回
谷川ゆに/境界紀行 たましいの行方をさがして 第10回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 第13回
編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月号の表紙は塩野七生さん。

◇少年時代、フェリーニの「カサノバ」という映画に仰天したばかりの頃、NHKで当の監督へのインタビュー番組がありました。たしか翌日の夜が黒澤明。二夜連続でインタビュアーをつとめていたのが塩野七生という華やかな女性で、巨匠相手に堂々かつ優雅に渡り合う姿に感嘆したのを覚えています。壮麗なヴェネツィアの祭から始まる「カサノバ」の監督の聞き手に、『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年』の作家を配したのはNHKの慧眼。
◇地方都市の少年が塩野さんの名前を知ったのはその番組からで、以来あれやこれや夢中で読んできたのは多くの方と同様です。フェリーニや黒澤についての文章も収めた『人びとのかたち』や『想いの軌跡』、ご子息アントニオ氏と著した映画をめぐる本も面白かったですし、粕谷一希さんの自伝に、ローマ留学中の塩野さんが実にめざましく登場する箇所があって思わず爆笑したりもしました。まあ、ミーハーなファンです。
◇今号の表紙は塩野さん。著者曰く「最後の歴史エッセイ」である『ギリシア人の物語Ⅲ 新しき力』が刊行されたばかり。読み始めるのがモッタイなくて、まず後記から読むと、今号の表紙に書かれた「グラツィエ・ミッレ」(「一千回もありがとう」)の意味が明らかにされていました。この人にしてこの言葉、と胸うたれます。
◇『アナログ』『バカ論』が同時にベストセラーになっているビートたけしさん。ツービートが大ブレイクする直前、40年前の漫才の音源を聴く、秘密結社のような会が開かれました。東京言葉の切れ味とスピードが圧倒的。詳細は和田尚久さんと峰岸達さんの文章&イラストをご覧下さい。
◇新年号らしく、連載が二つ始まりました。『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で新潮ドキュメント賞を受賞したブレイディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」、小誌で連載した『「私」を受け容れて生きる――父と母の娘』が話題になった末盛千枝子さんの「根っこと翼・皇后美智子さまに見る喜びの源」。両者とも、まさに2018年現在にふさわしい連載です。
南陀楼綾繁さんの労作「ナミ戦記」が最終回。反省したり刺激を受けたりニヤニヤしたりの連続でした。
◇神楽坂ブック倶楽部は会員募集をしております。詳細はホームページ、http://kagubookclub.com/を。

お知らせ

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。