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【『風通しのいい生き方』刊行記念インタビュー】曽野綾子/人間にとって居心地のいい場所

波 2014年5月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/04/28

発売日 2014/04/28
JANコード 4910068230546
定価 102円(税込)

【『風通しのいい生き方』刊行記念インタビュー】
曽野綾子/人間にとって居心地のいい場所

[大沢在昌『ライアー』刊行記念特集]
中江有里/心の中で龍を飼う
西上心太/最も強く、最も危険な母親

越谷オサム『いとみち 三の糸』
藤田香織/ついに完結! それでも続く「いと」の「みち」!

はらだみずき『ここからはじまる』
池上 正/「身代わりアスリート」への、救いの物語

【道尾秀介『貘の檻』刊行記念 書店員座談会】
沢田史郎×新井見枝香×成川 真/贅沢すぎるミステリー

永瀬隼介『12月の向日葵』
北上次郎/紹介できない面白さ

月原 渉『黒翼鳥―NCIS特別捜査官―』
新保博久/『月光蝶』で絶好調、『黒翼鳥』でも活躍中

ミチマドカ『でぶりしゃす!―激ぽちゃ女子の達観ハッピーライフ―』
ミチマドカ/なんで痩せなきゃいけないの?

【柚木麻子『本屋さんのダイアナ』刊行記念対談】
東村アキコ×柚木麻子/二重構造がフィクションを救う

イアン・ランキン『監視対象―警部補マルコム・フォックス―』(新潮文庫)
吉野 仁/警察捜査+スパイ小説の醍醐味

ガブリエル・ガルシア=マルケス『ぼくはスピーチをするために来たのではありません』
梨木香歩/ユートピアは存在する

冨原眞弓 芸術新潮編集部『ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソン』
新潮社生活文化図書部/あの白い不思議ないきもの誕生のひみつ

【『時間という贈りもの―フランスの子育て―』刊行記念インタビュー】
飛幡祐規/自分で考えられる人間に育てる

江弘 毅『有次と庖丁』
中沢新一/技術の穂先

加藤 崇『未来を切り拓くための5ステップ―起業を目指す君たちへ―』
阿部哲子/起業に必要なのは勇気ではなくこの本だ

【『料理で家庭がまるくなる』刊行記念インタビュー】
浜内千波/大切なことは自分の手で作ること

平山周吉『昭和天皇 「よもの海」の謎』(新潮選書)
片山杜秀/「ことだま」の支配する国のあのとき

カール・オノレイ『難題解決の達人たち―即効策はなぜ効かないのか―』
内山 節/「急ぎすぎる社会」の危機と可能性

古市憲寿『だから日本はズレている』(新潮新書)
古市憲寿/「若者」のうちに言っておきたいこと

[宮本 輝『満月の道』刊行記念スペシャル対談]
宮本 輝×壇蜜/輝と蜜の「道」

コラム
考える人─私を育ててくれた一冊
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【新連載】木皿 泉/カゲロボ日記 第1回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第14回
末盛千枝子/父と母の娘 第2回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第9回
池上 彰/超訳 日本国憲法 第14回
石原千秋/漱石と日本の近代 第11回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第50回
久間十義/デス・エンジェル 第10回
森 まゆみ/子規の音 第4回
藤野千夜/D菩薩峠漫研夏合宿 第8回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第29回
津村節子/時のなごり 第32回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、曽野綾子さんです。このところ、常にベストセラー・リストに人生論の著作が名を連ねている曽野さん。現実を冷徹に見据えながら勁直で潔い生き方を提唱する文章には、心の指針を失った日本人の拠りどころとなる知恵が満ちあふれています。新作『風通しのいい生き方』(新潮新書)は『人間関係』の続編にあたり、東日本大震災以後、混迷を極める社会状況の中を「風通しよく」生きぬくために必要な思考法が語られていきます。写真は、母親の教えに従って「十文字に風の吹き抜ける家」を設計したというご自宅の、見るからに快適な書斎の窓辺を撮影させていただきました。
◇最初の十分間は何が面白いのかわからず、いつ席を立とうか考えていたのに、途中から爆笑が止まらなくなり、終わる頃には全身が虜になった――これは戌井昭人さんが主宰する劇団「鉄割アルバトロスケット」の公演を初めて観た時の感想です。その戌井さんの小説『すっぽん心中』が第40回川端康成文学賞を受賞しました。脱力系の奇想と諧謔が乱舞する芝居同様に、一度はまると病みつきになるのが戌井さんの小説ですが、現在全国各地のジュンク堂書店で「戌井昭人フェア」が開催中です(六月まで)。既刊全点の脇には、各店の文芸書担当者および版元の担当編集者が熱い偏愛の辞を書き連ねた小冊子が並んでいます。この機会に「ストーリーはぶっ飛んでいるのに言葉はリアル」(梅田店・中村優子さん)な「路上に生きる作家」(弊社担当者)の小説世界をぜひご体感ください。
◇新聞各紙が既報の通り、上橋菜穂子さんが国際アンデルセン賞の作家賞に選ばれました。児童文学のノーベル賞と呼ばれる同賞を日本人作家が受賞するのは、まど・みちおさん以来二十年ぶりです。弊社刊の「守り人」シリーズ(新潮文庫)も、受賞記念に作った新たな帯と、「この作品は、きっとあなたの人生の大いなる指針となる」という故児玉清さんの推薦文入りの販売台と共に、全国書店にて絶賛展開中です。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。