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[筒井康隆『聖痕』刊行記念特集]

波 2013年6月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/05/27

発売日 2013/05/27
JANコード 4910068230638
定価 105円(税込)

[筒井康隆『聖痕』刊行記念特集]
【インタビュー】筒井康隆(インタビュアー・大森 望)/文学史上最も美しい主人公の運命
川上弘美/最初から

小手鞠るい『美しい心臓』
村山由佳/恋愛という狂気の向こう側へ

[黒川 創『暗殺者たち』刊行記念対談]
四方田犬彦×黒川 創/100%の事実から生まれた小説

大澤信亮『新世紀神曲』
古川日出男/「密室」を開くための、問いの連打

ドン・デリーロ『天使エスメラルダ―9つの物語―』
池澤夏樹/宙ぶらりんの不安

[小川洋子『いつも彼らはどこかに』刊行記念インタビュー]
小川洋子(聞き手・佐久間文子)/動物たちがいる世界の喜び

藤田宜永『風屋敷の告白』
吉野 仁/ビギナー探偵の「本格的」事件

大崎 梢『ふたつめの庭』
大矢博子/「四つの顔」のある物語

[吉田修一『愛に乱暴』刊行記念特集]
【インタビュー】吉田修一/必然性とか衝動みたいなものは
宮崎香蓮/泣いてくれて、よかった

矢野隆『武士喰らい』
細谷正充/読め、しかして刮目せよ!

佐藤智恵『悩みの99%が一気に解決! 魔法のコンサル思考術』
斎藤広達/読むだけで、悩みが消えていくような

ジョンソン祥子『ことばはいらない ~Maru in Michigan~』
小澤征良/神さまからの宝もの

中川和宏『視力回復で近視も老眼も怖くない 即効!「見る力」フィットネス』
中川和宏/失った視力をあきらめない

中村 計『歓声から遠く離れて―悲運のアスリートたち―』(新潮文庫)
湯浅次郎/名もなき勇者に光をあてて

岡本茂樹『反省させると犯罪者になります』(新潮新書)
岡本茂樹/言い訳を言えると健康になれます

[山本周五郎と私]
乙川優三郎/美しいもの

新潮選書フェア
新潮選書 歴史ジャンルの本 私のこの1冊

諸富 徹『私たちはなぜ税金を納めるのか―租税の経済思想史―』(新潮選書)
【インタビュー】諸富 徹/世界の税制四〇〇年史から、現代社会を見つめ直す

板谷敏彦『金融の世界史―バブルと戦争と株式市場―』(新潮選書)
藤野英人/ココロとフトコロに効く冒険の書

佐倉 統『「便利」は人を不幸にする』(新潮選書)
内山 節/ドンキホーテと倦怠感

池田純一『ウェブ文明論』(新潮選書)
斎藤 環/“アメリカの他者”によるアメリカ文化論

会田雄次『決断の条件』(新潮選書)
瀧本哲史/古い世代の権力者と渡り合うための教養

新潮選書ベスト・セレクション2013

第二十六回三島由紀夫賞・山本周五郎賞決定発表

コラム
とんぼの本をよむ
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
鹿島田真希/少女のための秘密の聖書 第9回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第23回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第39回
池上 彰/超訳 日本国憲法 第3回
吉田篤弘/ソラシド 第11回
桜木紫乃/モノトーン 最終回
梨木香歩/冬虫夏草 続・家守綺譚 第13回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第3回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第18回
江 弘毅/有次と庖丁 第7回
津村節子/時のなごり 第21回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は筒井康隆氏。揮毫していただいたのは新作『聖痕』の冒頭部分です。ご自身が「最後の長篇小説になるだろう」と語るこの作品は、主人公が少年時代の特異な体験により、性の世界への扉を閉ざされてしまうという設定になっています。そして、その代償のような形で彼は味覚に関して繊細で豊かな感性を獲得し、食を通じて人生を切り拓いていきます。そのため、文中の随所に一流の料理店や美味を感じさせるメニューの描写がちりばめられており、味わいどころの一つになっているのですが、その雰囲気を表現しようと考えた表紙の写真は、東京・渋谷にあるフランス料理の名店「ブラッセリー クール」の協力で撮影しました。
◇エッセイ、翻訳、CM、料理、映画、テレビ番組、イラスト……そんな幅広い分野を対象に、優れた業績を残した人を顕彰しているユニークな賞があるのをご存じでしょうか。答は「伊丹十三賞」で、これまでに糸井重里、タモリ、内田樹の各氏らが受賞されています。既に報道されていますが、今年の受賞者は小誌で「超訳 日本国憲法」を連載中の池上彰さん。授賞理由に挙げられたのは昨年の総選挙の投票日にキャスターをつとめた特別番組で、池上さんは各党党首らに対して舌鋒鋭いコメントや本音を抉り出す質問を投げかけ、他局の番組を圧倒していました。その内容は「新潮45」二月号にも寄稿していただきましたが、新刊『聞かないマスコミ 答えない政治家』(ホーム社)に収録されています。
◇桜木紫乃さんの連載小説「モノトーン」が今月号で完結しました。ご愛読いただき、有難うございました。七月に単行本として刊行する予定です。なお、次号から石原千秋氏の「漱石と日本の近代」の連載が始まります。『反転する漱石』『漱石はどう読まれてきたか』などの著書がある石原氏の漱石論の集大成というべき論考です。どうぞご期待ください。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。