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吉例 秋の時代小説感謝祭

作成者:小説新潮

「小説新潮」2017年10月号
「小説新潮」2017年10月号

 夜は長くなり、さりとて寒すぎもせず。そんな時節に似つかわしいのは、やはり時代小説。目頭を熱くし、胸躍らせる逸品6編と、秘話満載の対談をご用意しました。「小説新潮」10月号、時代小説特集執筆者より、梶よう子志川節子武内涼矢野隆朝井まかて、五氏の書籍を紹介します。
 また、混沌とした今の時代に重なるためか、応仁の乱、室町時代をテーマにした時代小説がよく読まれています。垣根涼介室町無頼』、池波正太郎賊将』、堀川アサコゆかし妖し』もあわせてご一読ください。

「小説新潮」時代小説特集・執筆者の本

この世は、円と線でできている。眠りこけてる猫なんぞ尻と背中、それから頭もだ。ほれ。こうして、円がかさなってるだろう。

九つを告げる鐘が響く。家々から漏れる明かりだけが、しるべのように道を照らしていた。野良犬の吠え声すら聞こえぬ夜道に、木枯らしが吹き抜ける。

手弱女たおやめの嗚咽がごとき風の音は、刹那せつなのうちに空に消えた。

読者はぜひ、登場人物たちそれぞれの、逆境にあってこそかがやく豊饒な生の出現にたちあってほしい。こんな、一人びとりの生の豊饒だけが、人の歴史に希望を灯す。

[高橋敏夫/死に臨む者をみたす豊饒な生 「波」2017年2月号より →全文へ]

人は一人では生きていかれない。それが身に沁みてわかるのは、不幸にも人との繋がりが絶たれたときだ。商いは、人と人を繋ぎ、品を介して喜びや楽しみを分かちあうのだ。

[中江有里/さわやかに笑って泣いて、心洗われる 「波」2015年1月号より →全文へ]

「風を切って川面を走ると気持ちが良かった。お父っつあんとおっ母さんが逝ってしまった悲しみも、借金で店屋敷を取られて、通りにほうり出された悔しさも、舟を漕いでいるときだけは忘れられた」

[北上次郎/橋を渡れないからこそ舟を漕ぐ 「波」2016年10月号より →全文へ]

夫や息子たちとの縁には恵まれていなかったおえんですが、それを補うかのように、人と人との縁を結んでいくことになります。訳ありのお見合いをはじめ、隠居老人の茶飲み友だち探し、夫婦げんかの仲直りなど、「結び屋」の看板を掲げて人びとの役に立っていくのです。

[『結び屋おえん 糸を手繰れば』(改題前)松田哲夫/江戸の町に迷い込む 「波」2014年6月号より →全文へ]

室町時代・応仁の乱

NHKニュースが紹介した空前の室町ブーム到来。「定説」を覆した室町小説の「無頼」が示唆するものとは。

10年に及ぶ戦乱に何らの力も発揮出来ない将軍・足利義政の苦悩

奇怪な歌に予言されるように洛中随一の遊女が殺された。現場には半月も前に死んだはずの女がいたという。

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