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【特集】永久保存版 天皇と美術 1600年の至宝

芸術新潮 2018年7月号

(毎月25日発売)

特別定価1,579円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2018/06/25

発売日 2018/06/25
JANコード 4910033050780
定価 特別定価1,579円(税込)
●目 次

【特集】永久保存版
天皇と美術 1600年の至宝


巻頭グラフ
天皇家略系図

第1章 大王が眠る場所
  • 前方後円墳という夢
  • 巨大モニュメントの季節
    文 松木武彦

第2章 天皇たちの寺と仏
解説 瀨谷貴之
はじめに/百済大寺(大安寺)/川原寺・崇福寺/薬師寺/東大寺(正倉院宝物)/西大寺/興福寺/新薬師寺・秋篠寺/東寺/大覚寺/仁和寺/醍醐寺/法勝寺/安楽寿院/泉涌寺
寺院MAP

コラム1
宮中真言院を守護した美画
コラム2
醍醐天皇の寺、勧修寺が伝える母と子のものがたり

第3章 祖父・後白河、孫・後鳥羽
後白河院と後鳥羽院
――国王の美術
文 五味文彦

第4章 分裂する天皇家
  • 持明院統と大覚寺統の文化競争
  • 両統迭立期の美術
    文 伊藤大輔

第5章 寛永の宮廷文化ルネサンス
近世宮廷文化の展開
文 柴橋大典

第6章 京都御所から明治宮殿へ
Adviser 太田彩・江口恒明

第7章 天皇の書 宸翰10選
選・文 羽田聡

「京都・醍醐寺」展案内
展覧会・書籍案内

芸新版 老若男女 学習まんが
天皇と美術
Vol.1 鎮護国家の寺から国王の氏寺へ by死後くん
Vol.2 王朝の終焉を生きた2人のレジェンド by丹下京子
Vol.3 両統迭立大整理 by死後くん
Vol.4 天下人と対峙した父子鷹、後陽成と後水尾 by丹下京子



◆ Art News exhibition ◆

ナポレオンに愛された
「ショーメ」の美的向上心 文 本間恵子

伝説のギャグマンガ
「マカロニほうれん荘」原画展
江口寿史が“愛”と“憎”を語る



◆ Review ◆

  • 木島孝文「第7回 東山魁夷記念 日経日本画大賞展」より
  • ローレン・グリーンフィールド
    「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2018」より
  • 長谷川利行/柚木沙弥郎/天野裕夫



◆ Global News ◆

  • New York「神々しい身体:ファッションとカトリックの想像世界」展
  • King's Lynn「ダミアン・ハースト、ホートン・ホールにて:
    『カラー・スペース』絵画シリーズと屋外彫刻」展
  • Paris「野生の魂:バルト三国の象徴主義」展
  • Paris「スエズ運河の偉業―ファラオの時代から21世紀まで―」展



◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

ちょっといいで書?〈15〉
ストリートで見つけた気になる字
選・文 中澤希水

Goods & Shop

時と光の美術館〈15〉
ブシュロン

リ・アルティジャーニ
ルネッサンス画家職人伝〈14〉
ヤマザキマリ とり・みき

◇ 連載 ◇

海外アートStudy最前線〈38〉
文 前橋重二

定形外郵便〈50〉
文 堀江敏幸

中野京子が読み解く
画家とモデル〈4〉
ピエロ・デラ・フランチェスカと《ウルビーノ公夫妻の肖像》

フィリップ・ワイズベッカーの
郷土玩具
十二支めぐり〈10〉[酉]

千 宗屋の
飲みたい茶碗、
点てたい茶碗〈48〉

Around Geijutsu Shincho
『祇園祭――その魅力のすべて』

◇ PICK UP ◇

movie 野崎歓
book 諏訪敦
recommend 編集部のおすすめ!
成相肇の やっかい もっかい てんらんかい〈27〉
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

POLA MUSEUM OF ART
オディロン・ルドンのつながる素顔

パテック フィリップと華麗なる伝統工芸の精華

僕たちがコラボレーションする意義
対談 千住博×猪子寿之

連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈25〉 室生寺金堂 釈迦如来立像

ART CAFÉ

最新号PICK UP

約30年ぶりに“天皇と美術”を特集しました

 本誌では1990年11月号で「天皇と宝物」を特集しています。これは前年の1月に亡くなった昭和天皇の遺産のうち、約5000件の美術品から3180件が国に寄贈されたことなどを受けたもので、近代皇室の宝物、すなわち“御物”の形成史が軸でした。特集の時点では寄贈された美術品の詳細が明らかでなかったこともあり、記事には「一日も早くリストを発表」して欲しい旨がつづられていますが、やがて1993年には宮内庁三の丸尚蔵館がオープン。現在開催中の「明治の御慶事―皇室の近代事始めとその歩み」で第80回を数える展示の積み重ねによって、その内容が明らかにされてきました。

 今回の特集はいわゆる御物ではなく、天皇がその制作や享受にかかわった建築を含む美術全般を対象としています。とりあげた中で最も古いのは3~5世紀の前方後円墳で、最も新しいのは19世紀末の明治宮殿。通常特集の1.5倍のヴォリュームで、日本美術の歴史を“天皇という窓”から通観した、ありそうでなかったヴィジュアルガイドを是非お楽しみ下さい。

 なお、写真は奈良県宇陀市にある大野寺の弥勒磨崖仏。後鳥羽上皇と関係が深かった興福寺僧の雅縁が造営したもので、承元3年(1209)の開眼供養は上皇も臨席した盛大なものでした。こんなところまでと驚くような山深い場所ですが、考えてみれば後鳥羽上皇は熊野まで28回も御幸しているタフネスなのですから、奈良盆地を縦断して少し山に入るくらいはへっちゃらでしょう。天皇自身のこうしたエネルギッシュな活動が、ときの文化そのものを支えていた時代もたしかにあったのです。

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撮影=筒口直弘(本誌)

この号の誌面

編集長から

天皇と美術の1600年を追う

 仏教美術、絵画、建築――この国の美術と天皇のかかわりは長く深い。そこで平成の終焉まで1年を切ったいま、“天皇という窓から見た美術史”を追いかけてみよう、というのが今月の特集だ。最初は大王たちの古墳築造ブーム。まずは墳丘が巨大化の一途をたどり、ついで内部空間に比重が移って山もりの副葬品で権威を示す。続いて仏教が伝来すると、聖武天皇による東大寺や醍醐天皇一家の醍醐寺、光孝天皇が発願した仁和寺などなど、天皇たちの情熱の対象は寺院へ移行。さらに時代が下ると後白河天皇の絵巻ブームがあったり、秀吉や家康といった天下人の後援で後陽成天皇や後水尾天皇が宮廷文化の復興に力を注いだり……。そして時代は明治へ。洋式空間の中に日本の伝統美術を組み込んだ秀麗な明治宮殿のありし日を、絵画と古写真が伝えてくれる。歴代の天皇たちの手になる書も興味ぶかい。なかでも隠岐に流された後鳥羽天皇の遺言書は、無念さに満ちて心が乱される。

芸術新潮編集長 吉田晃子

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「暮らし」はアートであるをキャッチフレーズにあらゆる事象を「芸術」という観点から検証し、表現する「芸術新潮」。1950年に創刊され、歴史と文化を見続けてきたハイクオリティなアートマガジン。歴史的な芸術作品から、建築、古美術、現代アートまで、あらゆる「美しきもの」を独自の切り口で紹介しています。