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【大特集】北斎 画狂老人への道
《付録》萬福和合神

芸術新潮 2016年12月号

(毎月25日発売)

特別定価1,650円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2016/11/25

発売日 2016/11/25
JANコード 4910033051268
定価 特別定価1,650円(税込)
2016年12月号、および2017年1月号「PICK UP EXHIBITION 全国展覧会情報」の内容に誤りがありました。神奈川県川崎市・川崎市岡本太郎美術館「つくることは生きること 震災《明日の神話》」展の広島、兵庫、熊本への巡回はございませんでした。読者ならびに関係者の皆さまにご迷惑をおかけしましたことを、心からお詫び申し上げます。
●目 次

【大特集】
北斎 画狂老人への道

《付録》萬福和合神

◆ special features ◆

第一部
北斎、
40代のビッグバン

読本挿絵の知られざる幻想宇宙
馬琴vs北斎
競い合い、高め合った読本狂時代
対談 辻惟雄×板坂則子

超略年譜 画狂人一代
イラストレーション 伊野孝行

第二部
北斎、
70代の絵画革命

《冨嶽三十六景》をマジで見直す
文 前橋重二

Part1
青との邂逅
プルシアンブルーが導いた新“風景”
《冨嶽三十六景》総展望

Part2
カラリスト北斎の冒険
さまざまなる色彩実験

Part3
画狂老人の夢と嘘
あの手この手の絵画術

第三部
祝! すみだ北斎美術館
オープン

時太郎から卍まで 北斎の90年を歩く
イラストレーション 森本サンゴ

開館記念展の目玉は100年ぶりに里帰りした「絵巻」
復活した「大絵馬」もすごいぞ

展覧会情報

◆ special feature ◆

第2特集
ヴェルサイユ再訪、
人間マリー・アントワネットに会いに
文 原田マハ 撮影 小野祐次

◆ art news ◆

◇ presentation ◇

方舟を飛び出した動物たち
本城直季×ヴァン クリーフ&アーペル

◇ exhibition ◇

ひかりと物
田原桂一の考光学

仙厓をめぐる笑いの浄土
対談 しりあがり寿×橋本麻里

◇ review ◇

柳根澤
ジャン・プルーヴェ
加藤泉×陳飛
金巻芳俊

◇ global news ◇

London「ゲリラ・ガールズ:ヨーロッパではさらにひどくなった?」展
Berlin「アンネ・イムホフ 不安II」
New York「笹本晃:デリケート・サイクル」展

◆ regular features ◆

◇巻頭◇

FLOWER
日々の花〈20〉
渡邉良重
文 市村美佳子

PHOTO
作家が覗いたレンズ〈32〉
武者小路実篤
選・文 森岡督行

GOODS & SHOP

◇ 連載 ◇

海外アート
Study最前線〈19〉
文 前橋重二

定形外郵便〈31〉
文 堀江敏幸

伊藤まさこの
小さい美術館めぐり
時々おやつ
〈18〉多治見市モザイクタイルミュージアム

もう一杯だけ
呑んで帰ろう。〈31〉
文・写真 角田光代+河野丈洋

千 宗屋の
飲みたい茶碗、
点てたい茶碗〈30〉

TONY & INOCCHI
マンガ展評
ちくちく美術部〈19〉

◇ PICK UP ◇

movie 野崎歓
book 諏訪敦
recommend 編集部のおすすめ!
成相肇の やっかい もっかい てんらんかい〈8〉
exhibition 全国展覧会情報

2016年芸術新潮総目次
次号予告

◇ 芸術新潮特別企画 ◇

Special Event
銀座ギャラリーズ
クリスマス アートフェスタ
2016

ART CAFÉ SPECIAL
ART CAFÉ

最新号PICK UP

北斎作・画の傑作エロチカ小説『萬福和合神』を別冊付録として丸ごとお届けします

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「ここに淫州素股郡臍村(いんしゅう すまたごおり へそむら)という里に、沢山屋有助とて大金持ちの腎張りあり。女房はおすけとて、廿三(にじゅうさん)の中肉。目の寄る所へ玉が寄る、夜昼なしのしつづけ……」――
 と、リズムよく始まるのは、北斎自身が絵はもちろん文章も書いたエロチカ小説『萬福和合神』です。主人公は、この金持ち夫婦の間に生まれた娘「おさね」と、隣に住む食わぬ屋貧兵衛・おさせ夫妻の同い年の娘「おつび」。13歳でのそれぞれの性の目覚めから、数々の男性遍歴を経て30歳で再会するまで、2人のヒロインの愛欲の日々が赤裸々につづられます。時に微笑ましく、時に唖然、また時にはかなり深刻な情景が、スピーディーかつあっけらかんと展開してページをめくる手が止まりません。
 そもそも北斎といえば《冨嶽三十六景》を頂点に、生涯で3万点は下らない作品をものした浮世絵の大巨匠。その同じ人物が、じつは小説家でもあったことをご存じの方は少ないでしょう。しかし、隆盛する江戸の出版文化の中にどっぷりつかって成長した北斎は、若い時から強い戯作者志向の持ち主で、絵筆を握る一方で何冊もの黄表紙を執筆していたのです。数え62歳で刊行した『萬福和合神』は、いわばその方面での集大成。登場人物には近代小説的な意味での「内面」というものはありませんが、ここをもう一歩踏み込めば「にごりえ」のお力の世界じゃないかと思わせるような点もあったりして、小説家北斎じつに侮るべからず、なのです。
『萬福和合神』は現代語訳を主とした本が出ていますが、本誌ではむしろ原文をこそ味わっていただきたいと考え、必要に応じて訳注を傍記するスタイルを取りました(序文や附文などは現代語訳)。特集本編で40代における読本挿絵と70代の《冨嶽三十六景》という画歴の画期となるメインストリームの仕事をたっぷりご紹介した上で、官能小説家という北斎のもう一つの顔に迫ってみた次第。抱腹絶倒請け合いの特別付録、どうぞお楽しみください。

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この号の誌面

編集長から

70代の傑作に官能小説、
北斎の画狂老人への道

 すみだ北斎美術館開館を機に、今月は浮世絵界の巨星をフィーチャー。北斎の代表作のなかでも突出しているのは『北斎漫画』と《冨嶽三十六景》だろう。これら傑作誕生の土台を築いたのは、40代で手がけた読本挿絵である。美術史家の辻惟雄が〈北斎が北斎になる瞬間〉と指摘するその仕事を、数々の読本をもとに追いかけてみた。さらに70代で着手した《冨嶽三十六景》にも再注目。すでに半世紀以上のキャリアを重ねていたが、北斎は自身の殻を突き破り、あの手この手で本作に取り組んだ。全46図をとおして、その冒険、挑戦のさまを詳らかにする。付録とした艶本(えほん)『萬福和合神(まんぷくわごうじん)』も特筆すべき名作。北斎の自作・自画で、ヒロイン「おさね」と「おつび」の性の遍歴を語る、日本初の本格官能小説だ。絵のみならず、リズムに富んだ文体をお楽しみいただきたく、注釈つき原文で掲載した。
 第2特集は原田マハ氏によるヴェルサイユ宮殿探訪。遺品から人間マリー・アントワネットに迫る。

芸術新潮編集長 吉田晃子

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