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宮崎アニメの暗号

青井汎/著

748円(税込)

発売日:2004/08/18

  • 新書
  • 電子書籍あり

ナウシカ、トトロ、ラピュタ、もののけ姫、千と千尋……。宮崎駿の世界観がわかるファン必読の書。『崖の上のポニョ』を見る前にぜひ!

スペイン映画『ミツバチのささやき』、漫画『護法童子』、ゴヤの『巨人』、宮沢賢治、世界各地の神話、太古の洞窟壁画、陰陽五行思想――。宮崎駿のアニメ作品には、さまざまな「仕掛け」が巧みに隠されている。表層のエンターテインメント性に惑わされることなく、暗号を一つ一つ解読していくと、宮崎駿が見つめている深く広い世界が見えてくる。単なるアニメ論を超え、多くの日本人が忘れかけた「真情」を呼び覚ます注目の論考。

目次
序 章
第1章 『ミツバチのささやき』と『となりのトトロ』
 1 都会から越してきた姉妹と母の不在
 2 フランケンシュタインとトトロの近似
 3 「すごい映画」へのオマージュ
 4 正反対の風土に秘められた意図
 5 神近き子供たちの夢想
 6 地下空間で転換する物語
 7 存在しない風景の再現
 8 宮崎曼荼羅
第2章 欧州史の地層という「隠し絵」
 1 教会の下に眠るスペイン史
 2 ケルトの森と腐海の森を繋ぐもの
 3 腐海の森はなぜ増大するのか
 4 もはや森を畏怖できなくなった人間
 5 ナウシカの魔女的資質
 6 ジャンヌ・ダルクの面影
 7 ドルイドとしてのナウシカ
第3章 ファンタジーに「真情」を吹き込む中国思想
 1 失われた「カミ」
 2 王蟲を呼び起こした色
 3 「青き衣」と「金色の野」に潜む意味
 4 シシ神の森を包む五行思想
 5 人間が避けられないタタリ
 6 相剋の縮図がもたらす大地の死
 7 “モノの気”に存在感を生む理由
第4章 『もののけ姫』と宮沢賢治
 1 『土神ときつね』から何を読み取るか
 2 タタラ場の創世神話
 3 土神・金屋子神の生まれ変わり
 4 エボシ御前はなぜ美女に描かれたのか
 5 『もののけ姫』で頂点に達した思想
 6 五行思想を用いる理由
第5章 シシ神に投影される神々
 1 大地の中心から生まれた幻獣
 2 重なり合う神話や物語
 3 花輪和一『護法童子』
 4 ディダラボッチとゴヤの『巨人』
 5 人間の手によるものとの対比
 6 生と死を司るケルトの神
 7 破壊と再生を体現するインドの神
 8 最古の文学の中のシシ神
第6章 シシ神の森の真実
 1 神話的時空を超えて
 2 それは洞窟の奥で眠っていた
 3 シシ神は「呪術師」である
 4 解き放たれた太古の動物たち
 5 人と森の生命を繁ぐシャーマン
 6 原始の森という迷宮
 7 殺神劇
 8 そして大地は崩壊した
第7章 水の物語『千と千尋の神隠し』
 1 崩壊した現実の先に広がる世界
 2 タルコフスキーとの共通項
 3 母の不在を埋める原初的「母性」
 4 無化された「仕掛け」
終 章 宮崎アニメの深層
 1 「真情」に壊されるエンターテインメント性
 2 「あふれていなければならない」
 3 子どもたちが失ったもの
 4 二つの「神」に対する態度
 5 「非対称性」への異議
 6 宮沢賢治との共振
 7 『春と修羅』の意味
 8 森と共に生きる
 主要参考文献
 図版出典
 索引

書誌情報

読み仮名 ミヤザキアニメノアンゴウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610079-6
C-CODE 0274
整理番号 79
ジャンル コミック、演劇・舞台、映画
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2007/12/14

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なぜ、『となりのトトロ』の主人公は“姉妹”なのか?

『となりのトトロ』といえば、トトロや猫バスなど、かわいいキャラクターが子どもに大人気ですが、主人公はサツキとメイの姉妹です。水と緑が溢れる田園風景の中を縦横無尽に走り回るサツキとメイを見て、自分の子供の頃を思い出した方もいるかもしれません。
 ところで唐突ですが、『となりのトトロ』の主人公が、なぜ“姉妹”なのか考えたことがあるでしょうか? では、これはどうでしょう。
 なぜ、ルパンも、ナウシカも、パズーも“墜ちる”のか?
 なぜ、エボシ御前は女でなければならないのか?
 宮崎アニメには、キャラクターの設定や行動、何気ない場面の一つ一つに、そうあるべき理由が、巧みに「隠し絵」として埋め込まれているのです。このような、普通に見ていれば、誰も何の疑問も抱きそうもない宮崎アニメの深層を、本書では鮮やかに浮かび上がらせています。

掲載:2004年8月25日

著者プロフィール

青井汎

アオイ・ヒロシ

1963(昭和38)年、和歌山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。民俗学、精神病理学から歴史、SF、ミステリ、幻想文学にいたるまで、その関心領域は広い。現在は会社勤めの傍ら、複数のペンネームで執筆活動を行っている。『宮崎アニメの暗号』が初の著作となる。

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