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最期は自分の家で、自分らしく逝きたい!

「在宅ホスピス」という仕組み

山崎章郎/著

1,404円(税込)

本の仕様

発売日:2018/03/23

読み仮名 ザイタクホスピストイウシクミ
シリーズ名 新潮選書
装幀 駒井哲郎/シンボルマーク、新潮社装幀室/装幀
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 254ページ
ISBN 978-4-10-603824-2
C-CODE 0395
定価 1,404円

2025年、団塊の世代が75歳を超える7年後には年間100万人の介護者と150万人の病死者が日常となる。病院のベッドは不足し、「死に場所難民時代」がやって来る。自宅で最期を迎えることが当たり前になる時、本人と家族は何を知っておくべきか。終末医療の第一人者による、慣れ親しんだ場所で尊厳ある死を迎えるための教科書。

著者プロフィール

山崎章郎 ヤマザキ・フミオ

在宅緩和ケア充実診療所ケアタウン小平クリニック院長。1947年、福島県郡山市出身、1975年千葉大学医学部卒業、同大学病院第一外科、国保八日市場(現・匝瑳)市民病院消化器科医長を経て、1991年聖ヨハネ会桜町病院ホスピス科部長。1997年より聖ヨハネホスピスケア研究所所長を兼任。2005年在宅診療専門診療所(現・在宅緩和ケア充実診療所)ケアタウン小平クリニックを開設し、訪問診療に従事している。日本ホスピス緩和ケア協会理事。日本死の臨床研究会世話人代表、NPO法人コミュニティケアリンク東京・理事長。著書に『病院で死ぬということ』(主婦の友社、文春文庫)、『続・病院で死ぬということ』(同)、『家で死ぬということ』(海竜社)、『市民ホスピスへの道』(共著、春秋社)など。

ケアタウン小平クリニック

目次

まえがき
第1章 2025年問題とは何か
死に場所がない/救急体制の崩壊/地域包括ケアシステム/たとえば脳梗塞の場合/地域包括ケアシステムの課題/かかりつけ医の課題
第2章 我々はどうやって死ぬのか
胃瘻という落とし穴/まえもって意思表示を/内臓疾患、がんの場合/がん医療の課題/2割は急変して亡くなる/介護保険の落とし穴/死ぬ2、3週間前/食事や飲水量は確実に減少/点滴は苦痛を増加させることも
第3章 終末期がんの苦痛症状と対処法
がんの痛み/WHO方式のがん疼痛治療法/がん関連倦怠感/呼吸困難/苦痛緩和の最終手段/苦痛緩和の限界/持続的鎮静を理解しているのか/苦痛を増す要素
第4章 初めてのホスピス立ち上げ
病院からの解放/面会時間の制限と、消灯時間をなくす/ファミリーキッチンと「さくら湯」/自室内での飲酒、ペットも自由/鍵代わりのアヒルマーク/完全防音のプレイルーム/家族が宿泊できる部屋/身体的苦痛症状の緩和/適切な医療情報を伝える/治すことはできないんです/チームで支える/自分の足で歩きたい/味が濃くなりました/チーム自体が「チャプレン」/臨床宗教師/あとどれぐらいですか?/葬儀はどうしたいのか/死後の世界を信じますか/お迎え現象
第5章 ボランティアの大切さ
ボランティアの役割/ボランティア活動に参加できる条件/ボランティア活動の内容/家族や遺族へのケア/遺族の思い/近況伺いの手紙/ホスピス遺族会の誕生/さくら会の活動
第6章 ケアタウン小平チーム誕生
本音を言えば家に居たかった/アジアと北欧でホスピス巡り/結論は「出向くこと」/ケアタウン構想を可能にする事業所/顔と顔を合わせるチームケア/ケアタウン小平の完成/ケアタウン小平チームの目的/最期まで在宅で過ごせる条件/在宅緩和ケアの質を示す在宅看取り率/遺族へのケア/在宅遺族会「ケアの木」誕生/ケアタウン小平チームにおけるボランティア
第7章 家で死ぬということ
まず家族との面談/家族の病状認識の確認/在宅での初診と問診/病状認識の共有/認知症の場合/いつでも主役でいられる/部屋いっぱいの布団/ウイスキーの水割り、母の手料理/過剰医療が避けられる/点滴からの解放/点滴に対する私の考え/やはり点滴してください/在宅では苦痛症状が軽減する/病棟的症状コントロール/在宅的症状コントロール/夜間せん妄/このまま死なせるわけにはいかない/変化する家族の力/救急車は呼ばないで/独居の在宅看取りは可能なのか/独居でも最期まで安心して在宅で過ごせる条件
第8章 ホームホスピスという解決法
「ホームホスピス楪」の誕生/一般社団法人「全国ホームホスピス協会」誕生/「楪」からの旅立ち/アパート「いつぷく荘」/聖ヨハネホスピスと「ケアタウン小平チーム」の違い/遺族満足度調査の結果/在宅ホスピスの可能性
第9章 変えることのできない現実で苦しむ人への支援
衝撃的なできごと/緩和ケアに対する誤解/スピリチュアルペインとは何か/なぜスピリチュアルペインと表現するのか/四つの苦痛の源/自己とは何か/他者とは何か/真に拠り所となる他者の出現/人間存在の本質/改めてスピリチュアリティとは何か/〈真に拠り所となる他者とはいかなる存在か〉/〈神仏や宗教は真に拠り所となる他者になり得る〉/〈宗教や信仰を持っていない場合はどうなるのか〉/〈スピリチュアリティが働き始める〉/〈思いを動かすために、語りつくす〉/〈傾聴してくれる人は真に拠り所となる他者になり得る〉/鏡のようになる/沈黙の意味/傾聴困難な場面では/安楽死について
第10章 死にいくことの疑似体験
死の体験授業/死とは、大切な人や物、活動との別れのプロセス/人生にとって最も大切な存在が浮かび上がってくる/別れの手紙を書く/私にとっての身近な死
第11章 実情に即していない課題
現状の地域包括ケアシステムで十全か/緩和ケアチームの課題/緩和ケア――その社会コストの課題/在宅がん医療総合診療料の課題/在宅酸素療法の課題/ケアマネージャーの専門化を
第12章 答えは現場の実践から生まれる
〈1.一般在宅緩和ケア支援診療所〉/〈2.機能強化型在宅緩和ケア支援診療所〉
あとがき
参考資料

インタビュー/対談/エッセイ

平穏に死ぬための教科書

山崎章郎

 人生には必ず終わりが来るということは誰でも分かっている。分かってはいても、その事実にどのように対処するのかということになると、それがどのように・・・・・おとずれるかが分からなければ、対処の仕方も分からないということになるだろう。それでも、どのような形であれ、終わりは来るのである。
 どのような終わり方でも、どうせ終わるなら、出来る限り、苦痛から解放され、少しでも平穏な気持ちで、その時を迎えたいのではないだろうか。もし、そう考えるのであれば、可能な限り、情報を集め、自らのためにも、大切な人のためにも、事前の準備をしておくことは重要なことだと思う。
 本書は、必ず来るその日に備えるために、何が問題で、その問題とどう向き合えば良いのかについて、あなたや、あなたの家族と、そうなった場合に関係することになる医療・介護・福祉の専門家の皆さんとが共有できる情報を、可能な限り記載した教科書のようなものである。
 なぜ今、このような書物が必要なのか。それは、わが国が近未来に直面するはずの厳しい現実と、少しでもより良い形で向き合う準備を、今から始めた方が良いと考えたからだ。どのような現実が待ち構えているのかについては、既に様々なメディアでも取り上げられているので、ご存知の方も多いと思われるが、あえて、整理してみると次のようになる。
(1)今後わが国は、高齢化・人口減の社会になる。しかもその構造は、高齢者は増えるのに若者は減少するという形である。すなわち、医療・介護を受ける人々の数は増えるのに、その担い手は減少するのである。しばらくの間、深刻な人手不足が発生することが予測されている。
(2)働ける人が減るということは、社会保障を支える人が減るということである。しかしながら、社会保障を受ける人は、当面増加が続くので、社会保障費をどうするのかという国家的課題にも直面する。
(3)人口減の結果、いずれ医療の需要は減る。介護の需要は、しばらくは増加を続けるが、いずれは人口減でその需要も減少に転じる。つまり、医師が足りないからと、医師を増やしても、いずれは医師余りの事態が見えている。介護職に関しても、時間差はあるが、同様なことが予測される。つまり、医療・介護の在り方が問題になってくる。
(4)上記の(1)から(3)のような社会状況も含め、現在、様々な形で、2025年問題が取りざたされている。この問題の本質の1つは、高齢社会の結果として、老衰や、がんなどで死に直面する人々が急増するが、それら臨死患者を受け入れる医療機関のベッド数は、今後、むしろ減少が予定されているという現実の前に、死に場所の見つからない「死に場所難民」が出るかもしれないということである。
(5)2つ目は、救命しても死の間際にしか戻れない臨死患者が、その状態を目の当たりにした関係者の要請によって、救急病院へ救急搬送されてしまう機会が急増するだろうということ、その結果、救命されれば社会復帰可能な救急患者が、救急搬送されずに命を落としてしまう可能性も高くなること、つまり、本来あるべき救急体制が崩壊してしまう懸念があるということである。
 では、どうすれば良いのか。上述してきたことは、いわばマクロ的な近未来の社会状況であるが、結局のところ、それはその時を生きる一人一人の個人的な問題になる。
 本書では、それら多くの人々の死因になるであろう、がんの場合と、がんによる死を免れても直面する認知症や老衰の場合について、それぞれの死までのプロセスや、そこで生じる課題について具体的に記述し、かつそれらの課題にどう対処したら良いのかを考えていただけるように記述した。いずれにせよ、なにがしかの形で、死に直面するのである。その際に、どこでどう過ごすのか、即ち、死までの時をどう生きるのかを考えるヒントになればと書いた本である。
 そして、あなたが可能であれば最期まで在宅で、少しでも苦痛から解放され、平穏に過ごしたいと望まれるのであれば、それは「在宅ホスピス」という形で、実現可能であることも詳述した。『病院で死ぬということ』(現・文春文庫)から28年、本書は、多くの死にゆく人に導かれて、私が辿りついた現在の地平である。

(やまざき・ふみお ケアタウン小平クリニック院長)
波 2018年4月号より
単行本刊行時掲載

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