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スーパー禅僧のメッセージを聞け!

禅のこころを描く 白隠

芳澤勝弘/著 、山下裕二/著 、石川九楊/著 、ほか

1,728円(税込)

本の仕様

発売日:2018/03/30

読み仮名 ゼンノココロヲエガクハクイン
シリーズ名 とんぼの本
装幀 白隠《横向き半身達磨》部分 永青文庫蔵/カバー、広瀬達郎(新潮社写真部)/撮影、戸塚泰雄(nu)/ブックデザイン、nakaban/シンボルマーク
雑誌から生まれた本 芸術新潮から生まれた本
発行形態 書籍
判型 B5判変型
頁数 128ページ
ISBN 978-4-10-602280-7
C-CODE 0371
ジャンル 芸術一般
定価 1,728円

ド迫力のダルマにユーモアたっぷりの布袋、そして抽象画のような書。人々を救いたい、仏のこころを伝えたい、その一心で描いた書画は1万点以上。江戸に臨済宗を復興させた傑僧にして、日本美術史上最多作の画家。見て楽しい、知れば深い、その作品と思想を美術史家、書家、漫画家、翻訳家など多彩な執筆陣が案内する。

著者プロフィール

芳澤勝弘 ヨシザワ・カツヒロ

禅学・禅宗史研究家、花園大学国際禅学研究所顧問。1945年、長野県生れ。同志社大学経済学部卒業。公益財団法人禅文化研究所主幹、花園大学国際禅学研究所教授を歴任。国内外で白隠フォーラムを開催、近年は欧米でも白隠禅画を講じている。著書に『白隠 禅画の世界』(角川ソフィア文庫)、『白隠禅師の不思議な世界』『「瓢鮎図」の謎』(ウェッジ)、共著に「別冊太陽 白隠」(平凡社)、編著に『白隠禅師法語全集』全14冊+別冊(禅文化研究所)、『白隠禅画墨蹟』全3冊(二玄社)など

山下裕二 ヤマシタ・ユウジ

美術史家、明治学院大学文学部芸術学科教授。1958年、広島県生れ。東京大学大学院修了。室町時代の水墨画の研究を起点に、縄文から現代まで幅広く美術を論じる。著書に『岡本太郎宣言』(平凡社)、『日本美術全集20 日本美術の現在・未来』(小学館、責任編集)、共著に『驚くべき日本美術』(集英社インターナショナル)、「別冊太陽 白隠」(平凡社)など。2012〜2013年の「白隠展 禅画に込めたメッセージ」(Bunkamuraザ・ミュージアム)を芳澤勝弘氏と共同監修。

石川九楊 イシカワ・キュウヨウ

書家、評論家、京都精華大学客員教授。1945年、福井県生れ。京都大学法学部卒業。評論活動、創作活動を通じ、「書は筆蝕の芸術である」ことを解き明かす。著書に『中國書史』(京都大学学術出版会)、『日本書史』『近代書史』(名古屋大学出版会)、『日本語とはどういう言語か』(講談社学術文庫)、『やさしく極める“書聖”王義之』『ひらがなの美学』(新潮社)、『石川九楊著作集』全12巻(ミネルヴァ書房)、編著に『書の宇宙』全24冊(二玄社)など。

目次

巻頭言 生きている白隠と対峙せよ! 文 山下裕二
【禅画をよむ】
スーパー禅僧の仕掛けとたくらみ 解説 芳澤勝弘
社会諷刺/心の 図像ビジュアル 化/達磨/禅宗祖師/布袋/福神と鬼/観音/僧のための絵
【墨跡をよむ】
太さの思想、斜線の批評 破調の書が秘めるもの 解説 石川九楊
禅と白隠の基礎知識 監修・文 芳澤勝弘
禅宗とは?/禅画とは?/禅宗法系図/禅の用語解説/白隠はなぜ“臨済禅中興の祖”と呼ばれたのか?/白隠思想に触れるための著作案内/年譜/白隠に出会える美術館・寺社
対談 山下裕二のTalk about Hakuin
01 しりあがりさん、白隠キャラを描いてください。〈白隠マンガ〉 guest しりあがり寿
02 永青文庫の白隠について教えてください。〈愛蔵者は語る〉 guest 細川護熙
03 ぼく、辻先生の授業で白隠の名を知りました。〈美術史の中の白隠〉 guest 辻惟雄
エッセイ 翻訳者が語る 手紙から見える素顔 文 ノーマン・ワデル
附録 〈創作マンガ〉白隠ゑかくかく描けり 作・絵 伊野孝行 監修 芳澤勝弘

インタビュー/対談/エッセイ

ようこそ、白隠劇場へ

伊野孝行

 ジョンもジョブズもハマったZEN。ジョン・レノンは日本に来た時に白隠の禅画を買って帰った。山下裕二さんによるとあの「イマジン」は白隠の墨跡《南無地獄大菩薩(地獄も極楽も人間の心に映る影のようなもの)》と同じことを言っているのだという。確かに「想像してごらん」を頭にくっつければ「イマジン」の歌詞そのものだ。
 白隠慧鶴えかく(1685~1768)は日本の禅の中興の祖と呼ばれる。独学の絵は隙だらけの無技巧だが、描きたいことであふれている。この存在感はプロの絵師には出せない。1万点を越えるという量からしても日本美術史に比類がない。本書には白隠の友達、池大雅いけのたいがの絵も載っているので見比べてほしい。一目瞭然で質の違いがお分りになるだろう。どうしてこんな絵が描けるのだろうと大雅も思ったはずだ。私もそう思う。
「いいな」「すげえな」と思うことが私にとっての「理解」である。その意味で私は白隠をよくわかっている。でも白隠禅画は賛と絵が一つになって意味がわかる、いわば1コマ漫画。そこに込められたメッセージとなるとさっぱりわからない。そもそも書いてある文字が読めない。白隠にとって禅画は思想を伝える手段なのに、私は絵だけを見て「わかる」と言っちゃってるわけだ。
 そんな私にうってつけなのが本書の芳澤勝弘さんによる白隠禅画解読である。禅の開祖達磨はもちろん、乞食姿の大燈国師、ハマグリになった観音様、布袋さんにすたすた坊主……多彩なキャラクターが登場する絵画世界を芳澤さんは「白隠劇場」と呼ぶ。白隠が漫画的キャラを操って説こうとした深い禅の思想とは何だったのか?
 白隠はそれまで貴族的だった禅を民衆に広めた人で、我々がよくわからないままに禅だZENだと言ってるのも、ジョン・レノンが「イマジン」を作ったのも、白隠さんのお蔭かもしれないのだ。白隠は公案(いわゆる禅問答の問い)も自ら考えた。有名なものに「隻手の声」というのがある。「両手を打ち合わせると音が鳴るが、では片手の音とはどんなものか」という謎かけだ。作麼生ソモサン! 皆さんなら何と答えますか?
 余談になるが、芳澤さんと私はEテレの5分間アニメ「オトナの一休さん」(ただいま絶賛再放送中)の監修者と作画担当者という縁で結ばれていた。本書の元になっている「芸術新潮」の白隠特集の時は、私は一読者に過ぎなかったのだが、因縁が私を呼んだ。「白隠の禅画は誰のために描かれたのか不明なものが多い。伊野さん、そこを想像して漫画に描いてみませんか?」と芳澤さんに頼まれた。これが禅問答なみの難問だった。巻末のオマケ漫画「白隠ゑかくかく描けり」がそれです。
 あ、そうそう、禅問答には答えなどないのです。筋道だった答えを用意しても「喝!」なのです。禅の公案とは澄んだ自由な精神を手にするための使い捨ての道具にすぎないのだそうだ。さて、私の漫画はそんな自由な答えになっているのだろうか……。

(いの・たかゆき イラストレーター)
波 2018年4月号より

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