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「面白い」にはウラがある!!

幸せな裏方

藤井青銅/著

1,512円(税込)

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発売日:2017/03/30

読み仮名 シアワセナウラカタ
装幀 みずうちさとみ/装画、新潮社装幀室/装幀
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 223ページ
ISBN 978-4-10-350881-6
C-CODE 0095
ジャンル エッセー・随筆
定価 1,512円

手塚治虫、星新一、大瀧詠一、松田聖子、伊集院光、デーモン閣下、オードリー……。ラジオ番組の放送作家をはじめ、作家、作詞家として時代を彩る著名人と仕事を重ねてきた著者が綴る、興奮の舞台裏。ヒットを出してもなぜか儲からないけれど、一番うしろにいるからこそ、すべてが見える! 思わずニヤリのエッセイ集。

著者プロフィール

藤井青銅 フジイ・セイドウ

23歳の時、第1回「星新一ショートショート・コンテスト」入賞。これを機に作家・脚本家・放送作家となる。書いたラジオドラマは数百本。腹話術師・いっこく堂の脚本・演出・プロデュースを行い、衝撃的デビューを後押しした。最近は、落語家・柳家花緑に47都道府県のご当地新作落語を提供中。著書『ラジオな日々』『ラジオにもほどがある』『誰もいそがない町』『笑う20世紀』『あなたに似た街』『【悲報】本能寺で何かあったらしい……光秀ブログ炎上中!歴史Web2.0』などがある。

書評

面白がりのアウトサイダー

マキタスポーツ

 ジャンルに縛られない、アウトサイダー。

 それが、この本を読んでの藤井青銅さんの一番の印象です。ショートショートでデビューして、放送作家、作詞家でもあるというマルチな経歴もありますが、今で言うライトノベルを青銅さんが刊行したときのことを書いた「ラノベ前夜」というエピソードがあります。「マンガみたいな小説を作る」という着想から、定義づけされるずっと前に、ライトノベルというジャンルの源流を開拓しました。
 これはジャンルに特化する専門家には、絶対に思いつかない。青銅さんはどのジャンルでもずっとアウトサイダーであり、だからこその発想なのだと思います。生意気なようですけど、そこに一番シンパシーを感じました。
 というのは、僕も、音楽やお笑いにおいて、自分がアウトサイダーだと感じているから。
「トーキョー・ギター・ジャンボリー」というアコースティックギターのイベントに出演させていただいたときのことです。浅井健一さん、斉藤和義さん、トータス松本さん……といったそうそうたるメンバーの中、僕も弾き語りをさせていただきました。イベントはもちろん大盛況で、打ち上げではみんなひたすら楽しそうに、楽器や機材についてなど、音楽の話をしている。あぁ、これこそがミュージシャンなんだなと思いました。
 また、お笑いの現場に行くとよく感じるのですが、芸人は技術論が好きな人がすごく多いんです。こういうフリだからこういうオチで……とか、手数の多さとか。あるいは、スパーリングのように日頃の会話からボケツッコミをしているとか。それは技術を高め合うような部分もあるんですね。そこに乗り切れていない自分がいて……。
 でも、僕みたいに純粋なミュージシャンや、お笑い芸人ではないからこそ見えるものもあって、そのジャンルがちょっと活性化するお役には立てるのではないかと思うんです。常に「こういうのもあるんじゃない?」と提案する気持ちでやっています。青銅さんも、きっと同じような気持ちなのではないか、と想像しました。
 もうひとつ青銅さんにシンパシーを感じるところがあって、たとえロスがあっても、台本は「長めに書いてから削る方が面白い」と、なんでも多めに出すところです。それって、コストパフォーマンスはすごく悪い。
 僕も原稿を書くとき、筆を執るまでは腰が重いんですけど、書き出すと多めに出しがちです。生まれちゃったものはしょうがないから、と思って。まわりから「無駄なところに時間をかけすぎ」「妙なところで完璧主義」などと言われますが、ほとんどの人が気付かないとしても、こだわって作りたいし、自分もそういう風に作られたものを楽しみたいという気持ちがある。だから、青銅さんの「多めに出す」話は、うれしくなっちゃいました。
 それって、「町の発明家オヤジ」みたいなものではないかと思うんですね。特許申請をたくさんしていて、たとえほとんどが役に立たないようなものでも、発明しちゃいたいという欲がある。おそらく生来の面白がりなのでしょうね。
 そんな青銅さんが裏方視点で書いたこの本は、「テレビやラジオがつまらない」と思っている人にこそ、読んでほしいと思います。
 テレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」などで、ある製品の裏にある職人技・匠の技を知ると、それを使うときの意識が変わる、なんてことありますよね。
 テレビやラジオも同じではないかと思います。普段は作品という結果を見たり聞いたりしているけれど、たとえば僕なんかは、歌番組のスイッチャーの技術はすごいし、ドラマ撮影での録音部の技術はやばいよ!! と思う。
 青銅さんの綴る、裏方としての職人技を知ってから見聞きするテレビやラジオは、感じ方が違うと思います。きっと新たな面白さを発見できるはずです。

(まきたすぽーつ ミュージシャン・芸人・俳優・コラムニスト)
波 2017年4月号より

目次

はじめに
一章 特別な才能 ――あの人のこと
特別な才能
神の奇跡
悪魔のしわざ
おせっかい
一方的な同期意識
目の上のタンコブ?
長渕クンと世良くん
載せられたくない
二章 ちょっとだけ、はみ出して ――大瀧さんの想い出
ちょっとだけ、はみ出して
滅多にないこと
作詞の先生
ジャーナリストとアーチスト
大瀧詠一から原稿をとれるか?
あるだろうな
三章 もう一つの別のドラマ ――ラジオという仕事
もう一つの別のドラマ
一人称
間にあるもの
ドンといってみよう!
架空モノ
流しの作家
四章 大変だけど、面白い ――飛び出せ企画力
大変だけど、面白い
ラノベ前夜
タチツテト手を
同時代落語事始
ゆるパイ狂想曲
雪の日の迷子
野望の行方
五章 整えない ――人生のヒント
整えない
ゲームな日々
企画意図は何ですか?
情熱こそが
人生の選択
もう一つの、人生の選択
思い出すこと
喫茶店の時代
ぼくの役目
おわりに

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